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エアクリーナの基礎知識 第1編

第2章 空気の汚れとは

2.1 空気の組成と空気汚染物質
2.2 粒子状汚染物質
2.3 ガス状物質

■ 2.1 空気の組成と空気汚染物質

1)空気の組成

空気は酸素と窒素を主成分とする混合ガスですが、その他のガスも約1%程度含まれています(表1)。環境大気は、このほかに1000〜50000ppmの水蒸気及び(表2)に示すバックグラウンド濃度を含んでいます。

■ 表1 空気の組成
■ 表2 バックグラウンド濃度
ガス
濃度[vol%]
窒素 78.03
酸素 20.99
アルゴン 0.933
二酸化炭素 0.03
水素 0.01
ネオン 0.0018
ヘリウム 0.0005
クリプトン 0.0001
キセノン 0.00001

化合物
濃度
オゾン 0.02ppm
二酸化炭素 0.02〜0.07ppm
メタン 1.4ppm
浮遊粒子 18μg/m3
亜酸化窒素 0.5ppm
(室内空気清浄便覧)

(室内空気清浄便覧)
 

2)空気汚染物質

自然界の空気組成を変化させる物質はすべて広い意味で空気汚染物質といえます。空気汚染物質には『発生源』、『状態』、『特性』などの違いで色々なものがありますが簡単に大別をすると、(図2)のようになります。

(図2)空気汚染物質の分類
 

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■ 2.2 粒子状汚染物質

1)粒子の大きさ

汚染粒子は小さいので、それらは径をμmの単位で測定しますが、そのほとんどは目に見えません。
代表的な粒子とその粒子径を(表3)に示します。ここには電子式エアクリーナで除去できる最小の大きさとして0.01μm までの粒子を示しましたが、ウイルスの粒子は非常に微細であり0.01μ m以下の粒子径のものもあり、単体の飛散状態では電子式エアクリーナでは除去できません。
しかし、空気中のウィルスなど粒子径の極小なものは、浮遊粉じん粒子に付着して浮遊している為、空気中の浮遊粉じんを除去すればウィルスも除去できることとなります。

表3 代表的浮遊粉じんの粒径
 

2)粒子の色々な特性

粒子は、色々の特性をもっており、空気清浄はその特性をよく知って行う必要があります。
各特性は粒子径などによって違いがあるため、『粒子径の大きさ』による大別をしたのが(表4)です。

■ 表4 粒子の色々な特性表
粒子径
落下速度*
可視度
人体に
建物に
エアクリーナ相性
100μm およそ3秒 目視可能 鼻腔まで 床等平面に付着 大きく取り難い
50μm 12秒
30μm 34秒 目視できることも有る 気管まで到達 10μm以下は取れる
15μm 2分15秒 気管支到達
10μm 5分 垂直面に付着
5μm 20分 顕微鏡で可視 肺胞到達
1μm 8時間30分 肺胞道で沈殿 室内に漂流 よく取れる
1μm以下 永久に浮遊 肺胸で沈殿
0.1μm以下 通過が多い

*2.4mを落下する時間
 

3)室内粉じんの人体に対する影響

室内にある浮遊粉じんは、人体に色々な影響を与えることがあります。その代表例を(表5)に示します。

■ 表5 室内粉じんの人体に対する影響
●10μm以上 鼻毛やのどの粘膜に衝突して除去されているため呼吸器官には入らない。
●0.1〜10μm 途中で捕集されないので、肺の奥まで到達し、毛細気管支と肺胞に付着します。
そのために、呼吸器系統に悪影響を及ぼします。
●タバコの煙 肺ガンの原因、不快感を与えます。
●花粉 花粉症の原因
●カビの胞子 呼吸器障害
●自動車の排ガス 気管支炎、喘息
●ハウスダスト アトピー、喘息など

 
 

4)たばこの煙

室内の汚染物質の70〜80%がたばこの煙から出されるものと云われています。
たばこの煙には、粒子状汚染物質とガス状物質が含まれています(表6、7)。
その影響は、喫煙者自身にも、非喫煙者にも多くの影響を与え各種疾患の原因と云われています(表8)。
ビル管理法、健康増進法(詳細後述)に規定されている室内浮遊粉じん濃度は、0.15mg/m3以下となっています。たばこ煙濃度と人間の感覚は大まかに見て(表9)のようになります。

■ 表6 たばこから発生する粉じん量
喫煙方法
1本当り発生量[mg]
発生速度[mg/min]
1.機械喫煙 主流煙 13.0 1.9
副流煙 7.9 1.1
2.置きタバコ 9.5 0.9
3.人間による喫煙 17.5 2.5

(室内空気清浄便覧)
 

■ 表7 たばこ一本当りのガス・蒸気成分の発生量
化合物名
主流煙MS[mg]
副流煙SS[mg]
SS/MS比
一酸化炭素 11.3 51.1 4.8
二酸化炭素 41.9 474 11.3
窒素化合物 0.23 0.9 3.9
アンモニア 0.02 9.1 455
ホルムアルデヒド 0.02 0.73 36.5
アセトアルデヒド 0.63 4.2 6.7
アクロレイン 0.07 1.3 18.6
ベンゼン 0.05 0.3 6.6

(室内空気清浄便覧)
 

表8 たばこ煙の人体に対する影響
 

■ 表9 たばこ煙濃度と人間の感覚
煙の濃度(mg/m3)
室内の状況
人間の感覚
0.15 煙はすぐ拡散する 臭いがややする
0.44 微かに煙っている 臭いがする
0.95 室内が霞んでいる 臭いが非常にする
1.26 濛々としている 目鼻に刺激有る

 
 

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■ 2.3 ガス状物質

1)概要

ガス状物質は、ガスと蒸気に分けられますが共に室内環境空気中では分子の状態で存在しています。それぞれの定義は1気圧で沸点が25℃以下をガス、それ以上を蒸気としています。(作業環境測定基準:厚生労働省)
その物理的性質としてはボイル・シャールの法則が有名です。すなわち媒体の空気も含めてどのガスも温度に比例して膨張し、圧力に比例して圧縮されます。室内空気環境においては、気圧の影響は無視してかまいませんが温度変化に関しては、例えば20℃を基準にした場合30℃と10℃ではそれぞれプラス、マイナス約3.7%の体積変化が生じる事となります。このことは、ガス濃度が質量濃度で示されている場合には注意すべきです。質量濃度[mg/m3]と体積濃度[ppm]の関係については第3章を参照ください。
ガス状物質は、その種類も大変多く、その特性も様々ですが室内空気環境の観点で捉えると、人間にとって有害な有害ガス、人間にとって嫌な悪臭ガスに分けられます。どちらのガス類も、人間にとって安全であるように夫々法律等でその基準濃度が規制されています。基準値、基準濃度については、第3章、第4章をご覧ください。

2)有害性ガス

代表的なものでは、接着剤などから発生する『VOC ガス』、燃焼等から発生する『CO 』 『CO2』等があげられます(表10)。
前述いたしましたがこれらのガスは、電子式エアクリ−ナでは除去できません。
ガス類を除去する為には通常は換気で薄めて対処します。

■ 表10 ガス状汚染物質の分類(堀)
 
ガス状汚染物質
主発生源
有機化合物 ホルムアルデヒド 接着剤
芳香族炭化水素 接着剤
その他のVOC 建材/燃焼
可塑剤 壁紙
殺虫剤/防蟻剤 畳/床下
悪臭物質 台所、トイレ
無機化合物 二酸化炭素 ヒト/燃焼
一酸化炭素 燃焼
窒素酸化物 燃焼
硫黄酸化物 燃焼
オゾン 集じん機、脱臭機
ラドン コンクリート
アンモニア コンクリート

(室内空気清浄便覧)
 

これら有害性ガスの人間への影響である程度解明されているものを (表11) に示します。

■ 表11 ガス状物質の健康影響
ガス状物質
暴露濃度
影響
汚染指数(許容濃度)
二酸化炭素(大気中に360ppm含まれている) 1.5% 軽度の代謝障害 1000ppm(0.1%)ビル管法
8〜10% 意識混濁
一酸化炭素(窒息性のガス) 45ppm 新陳代謝の変化及び障害 10ppm ビル管法
二酸化炭素(燃焼で生成された一酸化窒素は大気中で速やかにNO2に酸化される) 1500ppm以上 肺水腫(死亡)  
低濃度暴露 持続性咳・痰
二酸化硫黄 慢性暴露 呼吸器疾患  
0.03〜1ppm 刺激臭としてのいき値
ホルムアルデヒド 慢性暴露 喘息発作や接触性皮膚炎 0.1mg/m3以下
(30分)ビル管法
0.08ppm 不快感を与える臭いのいき値

 
 

3)揮発性有機化合物(VOC)

揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Conpounds) は、人の健康に影響を与える物質と考えられており、室内環境中には数十から100種類以上も存在する有機化合物です。これは厳密にはまだはっきりした定義が確立していませんが、 極めて多くの化学物質の総称であり、ガス状物質と粒子状物質の総称です。
最近ではシックハウス症候群を引き起こす汚染物質として注目されており、急性影響としては、粘膜の刺激症状、頭痛、めまいや吐き気などの中枢神経症状が多いが、物質によっては発ガン性の疑いも持たれています。代表的なものと労働厚生省が示しているガイドライン(指針)の値を(表12)に示します。

■ 表12 VOCのガイドラインとその主な発生源
物質名
主な発生源
ガイドライン
判定
μg/m3
ppm
管轄
年月
ホルムアルデヒド 接着剤 100 0.08 厚生省 1997年6月
トルエン 有機溶剤 260 0.07 厚生省 2000年6月
キシレン 有機溶剤 870 0.20 厚生省 2000年6月
パラジクロロベンゼン 防虫剤 240 0.04 厚生省 2000年6月
エチルベンゼン 有機溶剤 3800 0.88 厚生省 2000年9月
スチレン 断熱材 230 0.05 厚生省 2000年9月
クロロビリホス 防蟻剤 0.001 0.07ppb 厚生省 2000年9月
クロロビリホス(小児) 防蟻剤 0.0001 0.07ppb 厚生省 2000年9月
フタール酸n−ブチル 可塑剤 220 0.02 厚生省 2000年9月
テトラデカン   330 0.041 厚生労働省 2001年7月
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル   120 7.6ppb 厚生労働省 2001年7月
ダイアジノン   0.29 0.02ppb 厚生労働省 2001年7月
ノナナール   41 7.0ppb 厚生労働省 2001年7月
アセトアルデヒド 防腐剤・接着剤 48 30ppb 厚生労働省 2001年末
フェノブカルブ 殺虫剤 33 3.8ppb 厚生労働省 2001年末
TVOC(総揮発性有機化合物) 400μg/m3(暫定目標値) 厚生省 2000年9月

 
 

4)悪臭ガス

臭いを持つ化学物質は数十万種類ともいわれています。その中でも強力な臭いをもつものは、硫黄、窒素、酸素原子を含む官能基を持つ化合物です(表13)。
これらの多くは沸点が0℃以下で、極低濃度(多くは10ppb程度)でも不快感があります。悪臭防止法にて規制されている物質とその主な発生源を(表14)に示します。
これらのガスは、最近の「脱臭技術」でかなり分解が出来るようになりました。

■ 表13 悪臭を持つ官能基
分類
官能基
物質例
炭化水素類 -C=C- スチレン
ケトン類 >C=O メチルエチルケトン
アルデヒド類 -CHO アクロレイン、
プロピオンアルデヒド
アルコール類 -OH ブチルアルコール、フェノール、
クレゾール
エーテル類 -O- ジフェニルエーテル
低級脂肪酸類 -COOH 酢酸、プロピオン酸、吉草酸
窒素化合物 -NH2、>NH、>N-
-NC、-CN
アンモニア、メチルアミン、
ジエチルアミン、スカトール
硫黄化合物 -S-、-SCN、-NCS 硫化水素、ジメチルチオエーテル、
ジメチルメルカブタン
ハロゲン化物 -X 塩化水素、塩化アリル

 
 

■ 表14 主な悪臭物質(悪臭防止法対象ガス)
物質名
におい
主な発生源
アンモニア し尿のようなにおい 畜産事業所、化製場、し尿処理場
メチルメルカブタン 腐ったたまねぎのようなにおい パルプ製造工場、化製場、
し尿処理場
硫化水素 腐った卵のようなにおい 畜産事業所、パルプ製造工場、
し尿処理場
硫化メチル 腐ったキャベツのようなにおい パルプ製造工場、化製場、
し尿処理場
二硫化メチル 腐ったキャベツのようなにおい パルプ製造工場、化製場、
し尿処理場
トリメチルアミン 腐った魚のようなにおい 畜産事業所、化製場、
水産缶詰製造工場
アセトアルデヒド 青臭いにおい 化学工場、魚腸骨処理場、
タバコ製造工場
スチレン 都市ガスのようなにおい 化学工場、FRP製品製造工場
プロピオン酸 酸っぱいような刺激臭 脂肪酸製造工場、染色工場
ノルマル酢酸 汗臭いにおい 畜産事業所、化製場、
でんぷん工場
ノルマル吉草酸 むれた靴下のようなにおい 畜産事業所、化製場、
でんぷん工場
イソ吉草酸 むれた靴下のようなにおい 畜産事業所、化製場、
でんぷん工場

 
 

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