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燃焼安全の基礎知識

第1章 燃焼安全制御装置の概要

1.1.ボイラ事故の動向
1.2.燃焼装置の爆発防止
1.3.燃焼安全制御装置
1.4.燃焼安全制御装置の安全確保の考え方
1.5.燃焼装置の安全確保の考え方

■ 1.1ボイラ事故の動向

株式会社 損害保険ジャパン殿 「'03年版ボイラ事故の動向」資料から、'92〜'01年度の10年間のボイラ事故の実態および原因分析結果、最近のボイラ事故事例などから抜粋した。

■ 1.1.1.ボイラ事故の実態と原因分析

1. 事故発生率の推移では、ボイラの用途別の、鋳鉄製ボイラ、発電用ボイラ、小型・適用外ボイラの占める割合が69%と高く、また、ボイラ種別では、鋳鉄製ボイラ、水管ボイラ(含む発電用)、貫流ボイラ(含む小型・適用外)の3種類で87%占めている。
最近の事故発生の傾向としては、鋳鉄製ボイラの減少、炉筒煙管式、発電用および水管ボイラはほぼ横ばい、小型・適用外ボイラでは増加している。

* 事故発生率(%)=(損保ジャパンで検査をしたボイラの事故件数÷損保ジャパンの検査基数)×100
図1-1 ボイラ用途別事故件数割合
図1-1 ボイラ用途別事故件数割合

図1-2 事故発生率の推移
図1-2 事故発生率の推移

図1-3 ボイラ事故件数の推移(指数)
図1-3 ボイラ事故件数の推移(指数)

2. ボイラ事故の形態では、鋳鉄製ボイラの「き裂」事故が37%占め最も多い、次は水管式/小形貫流ボイラの「破裂」事故が28%で、この「き裂」「破裂」で65%と事故の過半数を占めている。
次は、炉内や煙道の「ガス爆発」9.4%と各々の種別ボイラで発生しており、また、スケール付着による局部的な水管の「過熱・漏洩」8.7%、さらに、炉筒煙管式ボイラの低水位事故による「圧潰」1.5%と少ないが、本体が飛動するなど大規模事故になるケースが多い。
図1-4 ボイラ事故の形態
図1-4 ボイラ事故の形態
3. 事故の原因は、統計処理上、主たる原因を取り上げ、1事故1原因とし、取扱保守不良41.9%、材料34.9%、腐食8%、設計不良2.1%、施工不良1.8%、その他11.3%の割合である。
取扱保守不良41.9%の内訳は「水管理不良」33.2%、「点検手入不良」24.5%、「操作ミス」17.4%、「不良運転」12.4%、「付属品の故障」12.4%に分けられる。

さらに、取扱保守不良41.9%の主な原因について内容分析すると
「水管理不良」33.2%:
給水の水処理装置などの管理不十分などによるスケールトラブルである。
「点検手入不良」24.5%:
低水位遮断機器の水側連絡管のスケールによる閉塞、バーナの手入不良による着火ミスなどである。
「操作ミス」17.4% :
バルブ・コックの開閉の誤操作、スイッチの入れ忘れなど取扱者の運転・操作ミスである。
「付属品の故障」12.4%:
自動制御装置の故障、水位調節器の水銀スイッチの故障、圧力調節器のベローズ破損などである。

図1-5 ボイラ事故の原因
図1-6 取扱保守不良の内訳
図1-5 ボイラ事故の原因
 
図1-6 取扱保守不良の内訳


■ 1.1.2.最近のボイラ事故事例

1. 炉筒煙管式ボイラの圧潰

事故状況
当日朝、ボイラを起動してから1時間後に異音がした。ボイラを停止してバーナ部分から内部を確認したところ、炉筒が「圧潰」していた。
図1-7 炉筒の圧潰状況
図1-7 炉筒の圧潰状況
事故の原因
水面計は、水位検出器コラムの底部に泥状の水垢が堆積し、ボイラの水位が低下しても常用水位を示していた。また、低水位遮断機器も同じ理由で作動しなかった。このため、水位が異常に低下した状態で30分程度の空焚き運転となった。
事故防止対策
基本的なことであるが、定期的に水面計および低水位遮断機器のブローを行い、水側連絡管の閉塞を防止する必要がある。


2. 鋳鉄製ボイラの低水位事故

事故状況
ボイラ技士がボイラ室隣の管理室にいたところ、女性従業員からボイラ室が臭くて蒸気が充満しているとの連絡があった。ボイラ室へ駆けつけたところ、ボイラ前面から蒸気が噴き出していた。
事故の原因
フロート式低水位遮断機器のフロート室内に、多量の缶泥状のスケールが付着しており、ボイラの水位が下がってもフロートは下がらず、作動不良を起こしたものと思われる。
事故防止対策
一般に鋳鉄製ボイラは、本体のブローを煩繁に実施しないため、低水位遮断機器などのブローも怠りがちである。このため、低水位遮断用のフロートスイッチは、作動確認を励行することが必要である。

図1-8 フロントセレクションの「き裂」
図1-9 フロートのスケール付着状況
図1-8 フロントセレクションの「き裂」
図1-9 フロートのスケール付着状況


3. 小型慣流ボイラの過熱・漏洩事故

事故状況
当日、ボイラを運転しようとしたが点火しなかった。バーナ部分を開放して内部を点検したところ、水管から水漏れを起こしていた。
事故の原因
事故の形態は、典型的なスケール付着による水管の過熱である。この事業所では、水処理を全自動で行っており、過去の状態は良好であった。ところが、事故が発生した8月は、水不足による渇水のために工業用水の水質が悪化し軟水装置の処理能力がオーバーし、その変化に気がつかなかったものと思われる。
事故防止対策
小形貫流ボイラは性能検査が不要であり、ボイラ技士の資格を持っていなくても運転できるが、やはりボイラに関する知識は必要であり、日常のメンテナンスも重要である。

図1-10 水管の過熱・破口状況
図1-11 下ヘッダーのスケール堆積状況
図1-10 水管の過熱・破口状況
 図1-11 下ヘッダーのスケール堆積状況



以上は、株式会社 損害保険ジャパン殿の保険事故データからの各種の分析結果であるが、全国のボイラ事故統計の傾向と重なり、燃焼安全を考える上で、大いに参考になる。
現在、ボイラの自動化がますます進む中で、自動制御に任せきりの運転が増え、さらに、取扱者の技術レベルの低下が懸念され、あらためて燃焼安全とは何か考えてゆきたい。

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■ 1.2.燃焼装置の爆発防止

「ボイラの事故の動向」のボイラ事故の形態から、大半が「き裂」、「破裂」で65%占め、次が炉内や煙道の 「ガス爆発」で9.4%と各々の種別のボイラで発生していることから、ボイラ以外の燃焼装置も同様の爆発傾向があると思われる。いずれにしても爆発事故は企業に大きな損害を与えるだけでなく、尊い人命を奪ってしまうことがある。このような爆発事故がどのような条件の時に起きているか、そして、どのようにすれば事故を防止できるかについて説明する。

■ 1.2.1.爆発の起きる条件

爆発は燃料と空気との混合気(その濃度は爆発限界内にある)が密閉された炉内に蓄積し、そこに点火源が存在した時に起きている。 図1-12 混合気の濃度と爆発限界
図1-12 混合気の濃度と爆発限界

*注 爆発限界は燃料により異なり、例えば天然ガス(LNG 13A)の爆発限界は4.3〜14.1%(空気100%)中のガスの混合比率である。また、爆発限界は同じ燃料であっても、温度、圧力などによりその値は異なる。すなわち、爆発には燃料、空気、点火源という3要素が関係するわけであり、このことは燃焼のの3要素と同じである。爆発は燃料と空気との混合気が炉内に蓄積してから点火する場合に起き、燃焼は蓄積する前に点火する場合に 行われる。

つまり、爆発には、「燃料・空気・点火源」という3要素が関係するわけであるが、これは燃焼の3要素と同じことになる。
爆発は燃料と空気との混合気が炉内に蓄積してから点火する場合に起き、燃焼は混合気が蓄積する前に点火する場合に行われる。
図1-13 爆発(燃焼)の3要素
図1-13 爆発(燃焼)の3要素

■ 1.2.2.爆発を防ぐには

爆発を防ぐには、爆発の3要素「燃料・空気・点火源」のうち少なくとも、1つ以上を制御すれば良いわけで ある。しかし、空気や点火源の制御は実際には実現困難である。なぜならば、空気は地表上のどこにも存在するため、簡単に燃焼室に浸入してしまう。また、点火源も燃焼装置を運転しているときは、常に炉内が加熱され赤熱しているため、点火源が存在することになる。
従って、爆発を防ぐための現実的な方法としては、燃料を制御すれば良いことになる。すなわち、炉内に 噴出した燃料は必ず燃焼させてしまい、炉内に未燃燃料を蓄積させないようにすれば良いわけである。 万一、炉内に噴出した燃料の燃焼が行われなかった場合、すなわち点火失敗した時や運転中に何らか の原因でバーナが突然、断火してしまった場合は、燃料の供給を直ちに停止すれば良いわけである。

図1-14 炉内(燃焼室)に未燃料を蓄積させない
図1-14 炉内(燃焼室)に未燃料を蓄積させない

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■ 1.3.燃焼安全制御装置

■ 1.3.1.FSG(Flame Safeguard)の定義

燃焼装置(蒸気ボイラ、乾燥機、燃焼炉など)の自動化に当り、燃焼安全制御装置(FSG:Flame Safeguard System)を使用して、事故の発生を防いできたが、燃焼安全制御装置(FSG)がどのように使用され、あるいはどのような役割を担って燃焼装置の安全を維持、確保してきているか、そして燃焼安全制御装置(FSG)を使用する場合の考え方、注意事項について説明する。

Flame Safeguard System
( 燃焼安全制御装置システム)
バーナを使用するために必要なバーナ動作の安全制御を行うためにシステムの中で使用される制御機器を相互に組み合わせたもの。



燃焼安全制御装置システムの機能
自動あるいは手動操作によってバーナを起動停止させること。
正しい順序に従ってバーナを起動させ、動作中の燃焼炎を監視すること。
異常な温度や圧力から保護する。
バーナ燃焼量の調節。
バーナ停止時、次の起動に備えて準備。
図1-15 FSGの定義  

■ 1.3.2.燃焼安全制御装置の基本構成

燃焼安全制御装置の基本構成をブロック図で表すと次のようになる。

図1-16 燃焼安全制御装置の基本構成(小形温水ボイラの例)
図1-16 燃焼安全制御装置の基本構成(小形温水ボイラの例)

■ 1.3.3.燃焼安全制御装置の構成機器の役割

1.コントローラ

燃焼装置の温度や圧力をある目標値(設定値)に制御するために、コントローラが使用される。

一般的に、図1-16 「燃焼安全制御装置の基本構成」の小形温水ボイラや小形蒸気ボイラには、オンオフ制御の温度調節器や圧力調節器がコントローラとして使用される。

2.リミット・インターロック

燃焼装置が異常な状態、危険な状態になるのを未然に防ぐための機器の名称として使用される。
例えば、燃焼炉の温度調節器が故障して炉の温度がどんどん上昇してしまう場合、ハイリミットコントローラはその設定温度まで温度が上昇すると、燃焼停止する信号をプロテクトリレーに送る。
一般的には、オンオフ制御の温度調節器や圧力調節器をリミットとして使用し、それらの接点は正常であれ ばON、異常であればOFFとなる。
また、 燃焼装置に使用されるインターロックは、大きく分けると起動インターロックと運転インターロックに分けられる。インターロックは、安全をチェックするための機器の接点がすべてONし、必要な条件が満たされると、安全に起動または運転に入ることができる。

起動インターロック
燃焼装置の起動条件が満たされているか否かをチェックするための機器の名称として使用される。
一般的には、リミットスイッチなどが使用され、例えば、起動時にプレパージを行うが、煙道ダンパが開いていないと換気できないため、ダンパ開・確認のリミットスイッチを起動インターロックとして使用したり、安全遮断弁が完全に閉じていることが確認できるリミットスイッチを起動インターロックとして使用し、燃焼装置を起動している。
運転インターロック
燃焼装置の運転条件が満たされてか否かをチェックするための機器の名称として使用される。
一般的には、圧力スイッチなどが使用されている。例えば、燃焼用空気または燃料供給圧は正常か、運転中に運転条件が満たされていれば接点ONで運転を継続し、満たされない場合は接点OFFとなり、その信号によりプロテクトリレーを通じ、燃焼運転を停止させる。

3.火炎検出器

バーナ火炎の有無を検出し、電気信号に変換してプロテクトリレーに送る。
電気信号としては、直流電流が使用され、この電気信号を火炎検出信号あるいはフレーム電流と呼び、数μAあるいは数mA程度のフレーム電流がプレテクトリレーへ送られる。
図1-17 火炎検出器の機能
図1-17 火炎検出器の機能

使用上の注意

a. 火炎検出器の選定
火炎検出器の検出(応答)波長域によって、油焚き/ガス焚きのバーナ火炎を検出できない場合があり、選定する場合は、十分に、その機能を確認してから使用する。
b. 点火スパークの誤検知防止
火炎検出器によっては、バーナ火炎だけでなく点火スパークも検出してしまうものもあり、バーナに火炎検出器を取り付ける場合は、点火トランスのスパークを検出しない位置に取り付ける。
c. パイロットターンダウンテストの実施
パイロットバーナに点火し、その火炎を火炎検出器で検出した後、主バーナに着火する方式(セパレート パイロット方式)のバーナの場合、火炎検出器は、主バーナに確実に着火できないような、小さなパイロットバーナ火炎を検出する位置に取り付けてはいけない。

なぜなら、炉内に未燃燃料が大量に蓄積してしまい、その後に着火した場合、爆発の危険性がある。

このように、主バーナに確実に、着火できるまで繰り返し、手動弁によるパイロット火炎の大きさの調整と火炎検出器の監視角度を調整することを、パイロットターンダウンテストという。

図1-18 パイロットターンダウンテスト
図1-18 パイロットターンダウンテスト

4.プロテクトリレー

プロテクトリレーは次のような機能を持っている。

a. 燃焼監視と安全遮断
これはプレテクトリレー単体で果たせる機能ではなく、火炎検出器・プロテクトリレー・安全遮断弁を組み合わせることで、初めて発揮できる機能である。
図1-19 燃焼監視と安全遮断
図1-19 燃焼監視と安全遮断

バーナが燃焼している場合は、火炎検出器からプロテクトリレーへフレーム電流が送られており、内蔵のアンプによりフレームリレー(火炎検出リレー)をオンする。このフレームリレーの常時開路接点(a接点)通して、電源からの電圧が供給され、安全遮断弁を開に保持する。

突然、バーナが断火してしまったと仮定すると、今まで火炎検出器から送られていたフレーム電流がなくなり、フレームリレーはオフになり、従って、フレームリレーの常時開路接点(a接点)が開き、安全遮断弁への電源供給を停止する。安全遮断弁は内蔵しているスプリングの力により、閉止しバーナへの燃料供給を直ちに遮断して、未燃燃料が炉内に蓄積することを防止する。
b. 安全なシーケンスによる燃焼装置の起動・運転・停止
プロテクトリレーは燃焼装置(バーナ)を安全に起動→運転→停止するためのシーケンス(運転手順)を持っている。誰が操作しても、安全に起動・運転・停止できるように、プロテクトリレーのシーケンスおよびタイマ時間は固定されており、安全を確保している。
図1-20 プロテクトリレーのシーケンス例
図1-20 プロテクトリレーのシーケンス例

c. 安全起動(セーフテイスタート)
燃焼装置の起動時にプロテクトリレー(燃焼安全制御器)は火炎検出器回路異常(疑似火炎信号の有無)や安全スイッチヒータ異常(断線有無)がないか自己点検し、正常であれば起動し、もし何らかの異常があれば、起動を阻止する。この自己点検は燃焼装置の起動毎に行われ、1回/1日以上の起動/停止を繰り返すバッチ運転の燃焼装置に適用している。それに対し、24時間以上の連続運転(燃焼を止めない)の燃焼装置の場合は、連続自己点検(ダイナミック・セルフチェック)方式の機能のあるプロテクトリレーを適用している。

使用上の注意
燃焼装置の運転方式に合わせたプロテクトリレーと火炎検出器の選定が重要である。

火炎検出器・火炎検出器回路が異常(疑似火炎信号があるとき)
実際に火炎が存在しないのに、火炎信号と同等の信号がプロテクトリレーに入ってきている場合、燃焼装置を運転してしまうと、もしバーナ火炎消えても、安全遮断することができない。

このため、バッチ運転の装置(1日に少なくとも1回は起動・停止する装置)用のプロテクトリテーは起動時に火炎検出器と火炎検出回路を自己点検してから起動する機能をもっている。



図1-21 疑似火炎信号
図1-21 疑似火炎信号

安全スイッチヒータが異常(断線している)
安全スイッチはバーナの不着火時や運転中の断火時に、安全遮断弁を閉じ、かつ、プロテクトリレーをロックアウト(安全スイッチが作動した後、リセットしないと、再度、起動できない)する重要な機能を持っている。安全スイッチの構造は、図1-22に示すように、安全スイッチヒータに電流を流し続けると、その発熱によりバイメタルが左側に熱変形し、スイッチのトリップが外れ作動し、負荷リレーをオフして、安全遮断弁を閉じる。従って、安全スイッチヒータが万が一、断線していた場合は、起動しないように設計されている。そのため、燃焼装置を起動するとき、安全スイッチヒータが断線していないことを自己点検してから起動する。
図1-22 安全スイッチ動作
図1-22 安全スイッチ動作


5.安全遮断弁

安全遮断弁は燃焼安全装置の中で、プロテクトリレーからの信号により燃料の供給、停止を速やかに行う重要な役割を担っている。

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■ 1.4.燃焼安全制御装置の安全制御の考え方

燃焼安全制御装置において、いかにその安全領域を確実に確保できるかが重要である。その安全領域の確保の考え方について述べる。
出典:ボイラ研究第236号「フェールセーフの概念とボイラ制御への応用」
山武 諸星征夫、山田哲也

■ 1.フェールセーフは

フェールセーフは、JIS Z8115 の信頼性用語では「フェールセーフ設計とはアイテム(信頼性の対象となるシステム、サブシステム、機器、装置、構成品、部品・素子、要素などの総称またはいずれか)に故障が生じても安全性が保持されるよう配慮してある設計」と説明されている。

「フェールセーフとは、故障しても安全が確保されているということである」

■ 1.4.2.燃焼安全制御回路のフェールセーフ実現の手段

電気回路におけるフェールセーフの実現方法として燃焼安全制御回路では、 起動チェック方式または連続チェック方式を取り入れている。
信頼性レベルは、起動チェック方式の場合、毎起動時、主要回路部品を自己点検/チェックすることにより通常の高信頼性製品に較べ、その安全度は格段に高いものになっている。
信頼性が正しく安全なものかどうかを評価するためにFMEA(Failure Mode Effect Analysis)を行っている。これは全ての素子のショート・オープンという故障モードについて起動チェック方式、連続チェック方式が正しく機能していることを証明するものである。

■ 1.4.3.燃焼装置における安全確保の手段

燃焼装置における安全性の維持のためには、爆発下限界濃度以上の混合気が炉内に充満している時には点火をしないことである。
燃焼装置では燃料噴出量が一定であるという特徴を利用して、噴出時間を制限することにより、炉内が 爆発限界に達しないように管理している。噴出量を一定にするために、圧力調整器を使用し、かつ各種リミットで安全領域に閉じ込めている。

図1-23 装置の安全構造の考え方
図1-23 装置の安全構造の考え方

危険は、過渡時の人間/機械/回路の非フェールセーフから起きることが多い。
制御は、非フェールセーフでも制御が良いこと。
リミットは、精度が落ちても確実な動作すなわちフェールセーフであること。
小破壊までで最悪事態を避けること。

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■ 1.5.燃焼装置の安全確保の考え方

燃焼装置の進展著しい制御領域と安全の領域とメンテナンス領域について、 どのように安全確保が図られているか考えてみる。

■ 1.5.1.安全の三大要素

・ 燃焼装置の安全の10項目

燃焼安全の基本的考え方の1つ1つは、極めて常識的なものであり、誰でも励行できるものである。 特に肝に銘じたいことは「不完全な知識は安全上極めて有害である」ので、次の10項目を良く理解し、 燃焼設備はどのようにあらねばならないか、それを使用するにあたって、どのような注意が必要かと いう諸点を明らかにしておくことが大切である。

1. 使用する燃料の性状、諸性質を正確に理解し、燃焼装置は燃料に適合したものを使用する。
2. 燃料の漏洩を防止する。万が一漏洩した場合は、使用を中止し、漏洩拡大を防止し、火気厳禁とした上で速やかに換気する。
3. バーナは安定な火炎の得られるものを使用し、適正な使用範囲、使用条件内で使用する。
4. 異常の場合は直ちに燃料を安全遮断する。燃料を緊急時に短時間に遮断する安全遮断弁などは燃焼安全の上で最も重要であるので、信頼性の高いものを使用する。
5. 安全装置は正しい装置を正しく取り付け、正しく使用する。安全装置を封殺して運転してはならない。
6. 点火の際は、必ず所定の空気量で十分に炉内のプレパージをおこなう。
7. 点火操作は必ず正しい手順に従って行い、点火バーナまたはトーチの確実な火炎など点火源が正しい点火位置にあることを確認した上で、燃料弁操作はすばやく確実に行う。また、バーナに着火し火炎が安定していることを必ず確認する。
8. 安全装置が作動して緊急停止した場合は、まずその原因を確認し、取り除いた後、プレパージを行ってから再点火する。
9. 正しい操作方法・手順に従って点火→運転→停止を行う。
10. 日常点検と定期点検を励行し、設備を常に正しく保つ。

・ 安全に設計・製作された設備の使用

設備を正しく設計・製作することは製作者の当然の責任であるが、発注者側も使用する立場から設備の実状に沿った安全性の検討を製作者と十分に行うことが重要である。製作者と同様、曖昧な妥協で安全面を犠牲にすることがあってはならない。
安全設計された設備を正しい操作方法で使用することが保安の基本である。

・ 自らの手で安全を確保

安全のもう一つの要素は、使用者が正しい操作方法(取扱説明書、マニュアル等)によって設備を使用することが大切であり、また設備を常に正しい状態に保つよう、保守・点検を行う責任は使用者にある。
従来、ややもすると安全は製作者に任せきりで設備の保守・管理をおろそかにしがちであるが、ここに安全とは自らの手で確認し、確保すべきものであることを今一度認識し、定期的に点検を行い、常に正しい状態で設備を使用すべきである。

出典:事故事例研究に基づく燃焼安全のガイド (社)日本工業炉協会 平成3年11月発行

■ 1.5.2.燃焼装置の制御と安全の考え方

燃焼装置は蒸気・熱風・高温雰囲気などを作り出す設備である。その発生量や状態を使用目的に合わ せるためには、制御が必要である。また、同時に発生するNOxの抑制や高効率とするための制御も必要 で、そして、各々の制御性は高精度、高度化、利便性の向上が図られ、さらに、マイコンの利用により燃焼 装置も使い易くなってきている。
しかし、高度化、高機能化した高信頼の制御システムも、ひとたび故障し制御不能になれば、災害に至る わけで、残念ながら制御性の向上は安全性の向上に寄与しない。 むしろ、電子化、ソフトウェア化は故障の予知や原因の追求に際して、中身を見えにくくしている。しかし、 マイコン化による自己診断や故障予知など格段の進歩があり、利用拡大を図られるべきであるが、これが 故障した場合はブラックボックスとなってしまうわけである。
本来、制御と安全との計装は別々に分け、安全のための機器は多少精度は悪くても、動作が確実なものを使わなければならない。制御と安全の関係は、安全が確保された場の中で制御が行われるように、さらに制御の場は安全の場の中に含まれる領域でなければならない。この領域の中で制御の高度化が図られるべきである。  
制御と安全は、各々の制御機器あるいは安全機器がそれを全て担うと考えがちであるが、その割合は 高いかもしれないが、これらの機器のみでの実現は難しく不可能である。設備や装置の構造・機能自体 が制御および安全を可能とするための要素ともなっている。
さらに、最終的には給排気条件などの設備の場によっても左右される。すなわち、制御や安全の実現は 、制御機器・安全機器と設備あるいは装置自体と設備の場(条件)という3つの構成要素が適正になってはじめて可能になる。また、全て機器や装置が故障した場合や設置条件が満たされなくなった場合でも フェールセーフを確保することは難しい。フェールセーフの確保ができない場合は、故障しないことや壊れ ないことが要求されるわけで、全ての場合を考えると、それでも安全確保を保証することはできない。
このように、安全を確保するには、定期的に機器を点検し、維持してゆく必要がある。すなわち、メンテ ナンスも安全確保のための重要な要素である。
以上、設備や装置は何かを制御するものであるが、基本的には安全でなくてはならない。それを実現す るためには、制御の領域は安全の領域に包括され、さらに、メンテナンスの領域に包括される必要がある 。そして、設備や装置自体と、そのための制御機器(燃焼安全制御機器を含む)および設置条件とが各々 「制御・安全・メンテナンス」の構成要素になっていることを念頭におく必要がある。

図1-24 制御システムの安全構成
図1-24 制御システムの安全構成

これらの考え方は、あらゆる装置や設備に言えることであり、計装回路の構成についても言える。たとえば後に述べる燃焼安全制御機器(プロテクトリレー)にはインターロック用端子を設け、各種のインターロックは、各々のうち一つが作動した時は、直接に負荷(点火トランス、パイロットバルブ、メインバルブ)を遮断できる回路構成としている。
万が一燃焼炉の温度調節器が故障して、炉の温度がどんどん上昇してしまう場合、温度調節器とは別に、ハイリミット(加熱防止器)により安全用の機器で安全を確保できる構成としている。

図1-25 安全構成の具体例
図1-25 安全構成の具体例

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