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第一章 熱式質量流量計の概要
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第一章 熱式質量流量計の概要
熱式質量流量計の基礎知識
第一章 熱式質量流量計の概要
1.熱式質量流量計
2.熱式質量流量計の分類
3.熱式質量流量計のメリット、デメリット
■ 1.1. 熱式質量流量計
質量流量計とは、温度・圧力を加味した質量測定ができる方法として厳密な計測やガスなど圧縮性流体用途に近年急激に普及してきている比較的新しい測定原理を使ったものである。質量流量計を大きく分けると、コリオリ式と熱式に大別することができる。今回は主に蒸気を除くガスの流量計測で用いられる熱式質量流量計、および当社フローセンサ式質量流量計について解説する。
■ 熱式質量流量計の歴史
歴史は比較的浅く、NASAのロケット開発の試験研究用途が発祥とされる。その後、半導体製造産業の急激な成長により、拡散炉など半導体の成膜工程においてめざましい発展をとげることになる。近年では、工場の省エネルギー目的の原単位管理、適正使用量管理、課別管理をはじめ燃料電池・医療・バイオ等の試験研究、ガスの商取引、病院内ガスの使用量管理など適用領域が急速に拡大しつつある。
■ 熱式流量計の原理
原理式から説明すると多少難解となるため本節では簡単にご説明する。要するにガスが持つ熱拡散作用を用いて流量測定する原理である。これは、ガスの圧縮度合いにより伝播する熱量が変化するためセンサそのものが質量流量に比例した出力特性を持つからである。ガスは圧縮性流体であるため、従来から馴染み深い体積流量計においては、正確な計測のためにはボイルシャルル式による温度・圧力補正が必要であった。熱式質量流量計において、基準流量により調整されたものは、高精度に質量流量測定が可能である。
■ 1.2. 熱式質量流量計の分類
計測センサ別に層別するとおもにキャピラリ式、熱線式、半導体式(フローセンサ式)が存在する。
(1) キャピラリ式
層流素子と呼ばれる整流部分にバイパス流路を設けて流量測定するいわば推測式測定法である。現在、熱式流量計では一番多く見られる原理であり、主に半導体製造工程のガスのコントロールに多く用いられている。
ガスとセンサ部分は直接流体に接触しないため、腐食性ガスの測定が可能であり、電解研磨などガス接触面の清浄化処理を施すことができる。一方、層流素子は大きな圧力損失をもつため低圧ガスの計測は不可能であり、キャピラリ部とメイン部分の比率が一定条件下で精度維持できるものであるため、一次圧力が大きく変化した場合圧力特性が大きくなる欠点もある。
図1-1 気体微小流量用流量計
(2) 熱線式流量計
リーズナブルなコストにより近年急成長している原理である。管内に設けられた、熱線(ヒータ部)と温度センサにより流速測定を行う方式である。従来は整流機構が必要なため、直管部は長いとされてきたが金網やハニカムと呼ばれる整流機構内蔵形も開発され、直管部が不要なものも登場している。比較的高流速域の計測が得意であり、圧縮空気や窒素など配管口径に対し流速が高いガスの測定に数多く使用されている。
図1-2 気体小〜大流量用流量計
(3) 熱電対式
サーモパイル式とも呼ばれ、文字通り熱電対の温度変化のみを測定する原理である。比較的高流速域での測定が多く、前出のキャピラリ式同様の構造にセンサ部のみを熱電対を直接挿入して計測する方式が多く見られる。高流速、大流量測定用途が主体となる。
(4) フローセンサ式
熱式の中では最も新しい方式である。センサ部分をシリコンウエハから形成された半導体式フローセンサで微細なエレメントにより熱容量が小さいため、計測範囲が熱式の中でもさらに広く従来不得意とされてきた極低圧のガスの計測が可能な原理である。また、原理的に双方向流量測定が可能で、電池駆動も可能なほど消費電力が小さい。
図1-4.1 マイクロフローセンサチップ
図1-4.2 マイクロフローセンサの計測原理(A-A' 断面)
■ 1.3. 熱式質量流量計のメリット、デメリット
どんな流量測定関連の文献に必ずや記載されているのが「清浄なガス」に適しているということである。ガスそのものに汚れ分が含まれているもの、あるいは設置工事時の溶接ヒュームやスラグ、配管錆などによりそのままでは熱式流量計に適合しない環境も存在する。一般には耐久性を重んじると、体積流量計である差圧式が一番優れているが計測範囲の狭さやトータル設置コストが高価であることから、流量計の設置投資対効果のあがりにくい用途では普及には至らなかった。しかし、ローコストで質量流量測定でき、計測範囲が広い熱式は必要なフィルタなど補助機器を取り付けることで、清浄でないガスを計測することが可能である。流量計には数多くの原理が存在するのは、どれを取っても一長一短が存在するためである。熱式の場合には、清浄なガスもしくは、清浄化されたガスにおいて利用することが望ましい。以下にガス流量測定の一般的な原理との対比表を添付する。
容積流量計
面積流量計
差圧流量計
タービン
流量計
渦流量計
超音波
流量計
質量流量計[コリオリ式]
質量流量計[熱式]
理論式
Q:流量
Q=K・N
Q=K・A
流体通過断面積(A)
A=K1H
Q=K√(P1-P2)
Q=K・ω
Q=K・f
Q=K・Δt
Q=K・Δt
Q=K・ΔT
または
Q=K・Δq
検出要素
一定容積の汲み出し数(N)
フロート位置(H)
差圧(P1-P2)
ロータの回転数(ω)
渦発生数(f)
超音波伝播速度変化(Δt)
時間差(Δt)
温度差(ΔT)
または
供給熱量(Δq)
測定信号と流量Qの関係
流量に比例
流量に比例
差圧の平方根に比例
流量に比例
流量に比例
流量に比例
流量に比例
流量に比例
測定精度 *1
±0.2〜±0.5%(RD)
±1.0〜±2.0%(FS)
±2%(FS)
±0.2〜±0.5%(RD)
±1.0〜±3.0%(RD)
±1.0〜±1.5%(FS)
±2%(RD)
±0.5〜±5%(RD)
レンジアビリティ
10〜20:1
5〜12:1
3〜10:1
15〜25:1
10〜80:1
20〜30:1
20〜100:1
50〜200:1
口径
10〜500A
1〜400A
15〜3000A
6〜600A
15〜4000A
6〜7000A
10〜150A
10〜300A
温度
-30〜+300℃
-200〜+450℃
-40〜+650℃
-250〜+500℃
-200〜+420℃
気体:-30〜+180℃
-240〜+200℃
〜+350℃
圧力
〜10MPa
〜60MPa
〜42MPa
〜10MPa
〜20MPa
〜2MPa
〜40MPa
〜40MPa
圧力損失
ストレーナを
含んで大
フロートによる 小
大
ストレーナを含んで大
小
無
ほとんど無
中
必要直管カン部
不要
不要
上流:10〜62D
下流:5〜7D
上流:15D
下流:5D
上流:10D
下流:5D
上流:10〜15D
下流:5D
不要
不要
レンジ変更
サイズ変更
サイズ変更
差圧変更またはオリフィス変更
サイズ変更
サイズ変更
容易
サイズ変更
サイズ変更
流体粘度
低〜高
中
低
低〜中
低
中(一部、スラリ可)
低〜高
低
可動部の有無
有
有
無
有
無
無
無
無
正逆流の測定
不可
不可
不可
不可
不可
可
可
不可
相対価格
高
低
低
中
中
高
高
中
JIS規格番号*2
B 7552
B 7551
Z 8761
Z 8762
Z 8765
B 7501
Z 8766
備考
気体の場合精度が落ちる(約1%)
挿入形を含む
*1 コリオリ、熱式以外の流量計は体積流量における精度で温度・圧力補正誤差を含まない。
*2 規格番号は以下のとおり
JIS B 7501 接線流羽根車単湿シツ式13mm水道メータ
JIS Z 8761 フロート形面積流量計による流量測定方法
JIS B 7551 フロート形面積流量計
JIS Z 8762 絞り機構による流量測定方法
JIS B 7552 液体用流量計−器差試験方法
JIS Z 8765 タービン流量計による流量測定方法
JIS B 7553 パーシャルフリューム式流量計
JIS Z 8766 渦流量計による流量測定方法
JIS B 7554 電磁流量計
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第一章 熱式質量流量計の概要
第二章 フローセンサ式流量計について
第三章 熱式流量計のアプリケーション