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制御機器の基礎知識〜マイクロスイッチ編〜

第一章 マイクロスイッチ・・・定義、種類

1.定義
2.種類

■ 1. 定義

マイクロスイッチと言うのは、厳密には精密スナップアクションスイッチ(Precision Snap Action Switch)または、センシティブスイッチ(Sencitive Switch)と呼ばれるもので、一般的名称としてマイクロスイッチと呼んでいるものは、もともと米国のH社のMICRO SWITCHという商品名から端を発しているが、日本ではこれが学術用語として指定されて、一般用語としても用いられているのである。

JIS C 4526-1(以下JIS)では、マイクロスイッチは、機器のなかに組み込みまたは固定することを目的とし、個別に試験することができる組込みスイッチ(Incorporated switch)であり、スイッチの操作方法からは、押しボタンスイッチ(Push-button switch)と定義されている。

しかし、上記表現では、広範囲のスイッチを含むため、わが国のNECA(日本電気制御機器工業会)のNECA C 4505(以下NECA規格)及び米国のNEMA(米国電気製造業者協会)では、次のように定義づけている。即ち「微小接点間隔(3.2mm以下)とスナップアクション機構をもち、規定された動きと規定された力で開閉動作する接点機構がケースに覆われ、その外部にアクチュエータを備え、小形に作られたスイッチ」となっている。

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■ 2. 種類

ここでは、前半は、JISによる分類について述べ、後半は一般に広く使用されているNECA規格に準拠して述べる。なおNECA規格に規定されていないが、スナップアクションをもち、一般的にはマイクロスイッチとして扱われるものについても本節の最後に付け加えてある。

■ 2.1. JISによる分類

1.概要
JIS規格では、製造業者が宣言する分類を定義している。以下では主な分類について述べる。

2.電源の種類
電源の種類により、以下の三つに分類される。

(1)交流専用スイッチ
(2)直流専用スイッチ
(3)交直両用スイッチ

3.負荷の種類
負荷の種類により以下に分類される。

(1)力率0.95以上の抵抗負荷用のスイッチ
(2)抵抗負荷、力率0.6以上の電動機負荷のいずれかまたはその両者を組合わせた負荷用のスイッチ
(3)抵抗負荷及び容量負荷を組合せた交流負荷用のスイッチ
(4)白熱ランプ負荷用のスイッチ
(5)製造業者が指定した特定負荷用のスイッチ
(6)20mA以下の負荷用のスイッチ

4.周囲温度
JISで定義される温度範囲は、以下の二つに分類される。

(1)0〜55℃(Tマークなし)
(2)55℃を超えるか0℃未満(Tマークあり)

5.動作サイクル
動作サイクルは、製造業者の指定した電気定格に基づく電気的耐久試験の試験動作回数となる。動作サイクルの分類を以下に示す。

(1)100,000動作サイクル
(2)50,000動作サイクル
(3)25,000動作サイクル
(4)10,000動作サイクル
(5)6,000動作サイクル
(6)3,000動作サイクル
(7)1,000動作サイクル
(8)300動作サイクル

6.保護等級
JIS C 0920により、固形異物に対する保護等級、及び水の侵入に対する保護等級が分類されている。

7.感電保護クラス
感電保護クラスにより、以下の四つに分類される。

詳細についてはこちらを参照願いたい。

(1)クラス0機器用スイッチ
(2)クラスI機器用スイッチ
(3)クラスII機器用スイッチ
(4)クラスIII機器用スイッチ

8.使用可能な汚染状態
使用可能な汚染状態は、以下の三つに分類される。

詳細については、こちらを参照願いたい。

(1)清浄状態での使用に適したスイッチ
(2)通常状態での使用に適したスイッチ
(3)汚れた状態での使用に適したスイッチ

9.耐熱性及び耐火性
非金属材料に要求される耐熱性と耐火性試験のうちの、JISの附属書Cによるグローワイヤ試験の試験温度レベルにより以下に分類される。

(1)レベル1スイッチ(650℃で実施するグローワイヤ試験)
(2)レベル2スイッチ(750℃で実施するグローワイヤ試験)
(3)レベル3スイッチ(850℃で実施するグローワイヤ試験)

10.端子
JISにおいて、いく種類かの端子が分類されている(図1 端子の種類の体系図を参照)が、マイクロスイッチで使用する端子は主に以下のものである。

(1)端末処理銅導体用のねじ端子
(2)平形クイック接続端子
(3)はんだごてまたははんだ槽を用いる、はんだ付け端子

図1 端子の種類の体系図

図1 端子の種類の体系図

11.はんだ耐熱性
はんだ耐熱性により、はんだ端子は次の二つに分類される。

(1)はんだ付け端子タイプ1
(2)はんだ付け端子タイプ2

12.回路遮断
接点開離の機能から、以下の二つの回路遮断に定義される。

(1)完全遮断
(2)微小遮断

完全遮断は、供給電源と遮断すべき部品との間で、確保しなければならない基礎絶縁を保証することのできる接点開離を要求するものである、また、微小遮断は、開離時に制御される機能が正しく働くことを保証するものである。完全遮断では、接点間隔にも同じ空間距離が適用され、50Vを超える電圧に対しては3mm以上が要求される。一方微小遮断は、接点間隔の距離に適用する値はない。ただし、完全遮断および微小遮断ともに、定格電圧で分類される耐電圧が要求されるので、それを満足する接点間隔が必要になる。

13.表示による分類
情報の表示方法により次の二つに分類される。

(1)限定表示U.T.(特定タイプ参照記号U.T.)をもつスイッチ
(2)全表示C.T.(共通タイプ参照記号C.T.)をもつスイッチ

共通タイプとは、JISで規定される範囲内のもので、一般のマイクロスイッチに適用される。一方、特定タイプとは、電気的あるいは機械的な仕様が製造業社に問い合わせることによって明確になるもので、特定の聞きに組込まれるスイッチなどに適用される。それぞれの表示は、スイッチに表示しなければならない情報と、仕様書などに記載しなけれえばならない情報が違ってくる。情報の詳細についてはJISを参照願いたい。

さらに、JISでは、表示に使用する記号が定められており、例えば交流(単相)は「〜」または「a.c.」または「〜a.c.」と定められている。 定格電流及び定格電圧は数字だけで表すこともでき、定格電流は定格電圧の前に表示するか上に表示し、その間を直線で仕切る、例えば、抵抗負荷及び電動機負荷をもつものは、電動機負荷の定格電流を丸括弧内に記し、下記のようように表示することができる。

16(3)A 250V〜  または  16(3)/ 250V〜  または 
16(3)
250

その他、周囲温度や動作サイクルなどの表示記号がJISに定められている。

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■ 2.2. NECA規格による分類

NECA規格では、スイッチの基本機構をベースにそのスイッチが持っている定格通電電流、接点間隔、接触形式、アクチュエータ及び端子の種類によってNECA規格の表示文字た数字の組合せで形名を構成している。

形式を例で示すと次のようになる。

Z
基本機構
(文字)
1
定格通電電流
(数字)
G
接点間隔
(文字)
1
接触形式
(数字)
P01
アクチュエータ
(文字、数字)

端子
(文字)

1.基本機構
NECA規格ではマイクロスイッチの種類を基本機構の違い(主としてスナップアクション機構の違いと考えてよい)により、表1に示すようなZ形からK形までの12種類に分類しているが、これら基本機構の違いにともない表面的には、電気定格、接触形式、動作特性および形状・寸法などの差異として現れる。

表1 基本機構による分類

NECA記号 基本機構
Z 一般形
R 手動復帰一般形
Y 分割接触形
D 双極形
A 高容量一般形
V 小形
W 双断形
T 封入形マイクロスイッチ用双断形
S 超小形
J 極超小形
C 軽トルク作動形(右側)
K 軽トルク作動形(左側)

2.定格通電電流
スイッチを開閉しない状態でも、通電電流により、接点及び可動バネなどが発熱する。このときの温度上昇値が、端子部で50℃以下となる最大電流値を定格通電電流という。

NECA規格で規定しているマイクロスイッチは、交流500V以下、直流250V以下で定格通電電流25A以下の範囲である。さらにこの中を表2のように分けている。

表2 定格

電圧 通電電流 NECA記号
交流 直流
125V
250V
500V
8V
14V
30V
125V
250V
0.1A 0
1A 1
5A 2
10A 3
15A 4
20A 5
25A 6

3.接点間隔
マイクロスイッチが持っているスナップアクション機構と微小な接点間隔は、それによって、他のスイッチと区別しているように、接点間隔はマイクロスイッチの基本性能に関する重要な要素である。接点間隔とは、図2に示すように可動接点の表面から、開路側固定接点の表面までの空間距離をいう。表3はNECA規格で規定している接点間隔である。この中で一般に多く使用されるのは、0.50mmおよび1.00mmの形式である。接点間隔を小さくすると動作特性が変わるが、中でも応差の動き(MD、定義は第三章2.1(4)動作特性の項を参照)が小さくなり高感度なスイッチが得られ、温度および圧力などの計測用スイッチとして多く使用される。また接点間隔の大きなタイプは、接点の接触圧力が高くなるとことから振動および衝撃の大きな仕様に適したスイッチといえる。しかし、可動ばねの移動距離が大きくなるため、機械的寿命が低下する。
図2 接点間隔

図2 接点間隔

表3 接点間隔の種類

接点間隔 NECA記号
0.25mm H
0.50mm G
1.00mm F
1.80mm E

4.接触形式
NECA規格及びJISによるスイッチの接触形式を図3に示す。制御回路の動作内容により使い分けられるが、ほとんどの場合は、図3に示す双投形で十分であり、最もよく使用される接触形式である。図4は、NECA規格では双投形に含めているが、形式には、2回路双断形と呼び、双投形とは分けて分類する。

図3 アクチュエータの種類 図4 2回路双断系(NECA規格)

シンボル
JIS 名称 切換え接点 ブレーク接点 メーク接点
記号 07-02-04 07-02-03 07-02-01
NECA
規格
名称 双投形(双断形を含む) 常時閉路形 常時開路形
記号 1 2 3

シンボル p3
JIS 名称 切換え接点
JIS 名称 2回路双断形


5.アクチュエータ
物体の位置検出用に使用されるマイクロスイッチは、光電スイッチや近接スイッチのように無接触で物体を検出することはできないので、検出物体の力や位置関係を正しくマイクロスイッチに伝える必要がある。このようなことから、アクチュエータの選定は、制御系の信頼性を確保する点において大切な意味をもっている。表4はNECA規格に定められた最も標準的アクチュエータの種類、特徴、用途についてまとめたものである。また図5はNECA規格にない特殊なタイプであるが、比較的よく使われるものを記した。図5(a)はヒンジローラーレバー形の変形で、検出体が左から右へ通過するときのみスイッチが作動する。図5(b)は動作力が小さい場合に有効なワイヤーレバー形である。
図5 比較的使われるアクチュエータ
図5 比較的使われるアクチュエータ 図5 比較的使われるアクチュエータ
(a)単一方向動作
(b)ワイヤーレバー

表4 アクチュエータの種類

アクチュエータ
の種類
アクチュエータ形状 特長および用途 NECA
記号
ピン押ボタン形 スナップアクション機構をピン押ボタンで直接作動させるため、高い精度が得られる。サーモスタットや圧力スイッチなどのように全体の動きが小さいものの検出に適している。 P01
スプリング細
押ボタン形
ピン押ボタン形とほぼ同じ用途に使用されるが、動作後の動きを大きくとれる分だけ使いやすい。 P03
パネル取付形 六角ナットおよびロックナットでパネルに取付けて使用する。動作後の動きは非常に大きくまた取付け位置を変えることにより動作点を調整できる。低速のカムと組合せて使用することもできる。 P05
ローラパネル
取付形
パネル取付形にローラをつけたもので速い動きのカムでも使用できる。 P07
リーフスプリング形 ピン押ボタン形にリーフスプリングを組み付けたもので、動きの遅いカムやドックでの使用に適している。リーフレバーのばね性により、動作後の動きを大きくとれる。 R01
ローラリーフ
スプリング形
リーフスプリング形にローラをつけたもので、速い動きのカムでも使用できる。 R03
ヒンジレバー形 動作に必要な力が小さい。低速カムやドッグでの使用に適し、ストロークも大きい。 L01
ヒンジローラ
レバー形
ヒンジレバー形にローラをつけたもので、速い動きのカムやドックでも使用できる。ピン押ボタン形の動作に必要な力が、レバー比により軽くなり、ストロークも大きい。 L03
ヒンジ短
レバー形
ヒンジレバー形の長さを短くしたもので、高速動作が可能。 L05
ヒンジローラ
短レバー形
ヒンジローラーレバーを短くしたもので、高速回転動作が可能。 L07
スプリング
短押ボタン
ブランジャの動きと同一方向の直線運動や立上がり角緩い(20°以下)動きの遅いカムで動作できる。スプリング細押ボタン形と同じ動作後の動きをとれる。 P09
スプリング
押ボタン
スプリング短押ボタン形の動きを大きくしたタイプである。 P11
回転軸形 回転軸にピアノ線を組付けて使用する。動作に必要な力が極めて小さいのでコイン検出や紙の検出に適している。 W01

6.端子
スイッチと機器との結線を行う端子部は表5に示すようにはんだ付端子、ねじ締端子およびタブ端子の3種類がある。図6は各端子形状を最も代表的なZ形マイクロスイッチについて示したものである。ねじ締端子及びタブ端子は、サイズによりさらに分かれており、これらはスイッチの定格通電電流により使い分けられる(表6)。
図5 比較的使われるアクチュエータ
端子 NECA記号
はんだ付端子 A
ねじ締端子 B
タブ端子 C


図6 端子形状 表6 端子ねじ及びタブのサイズと定格通電電流

(a)はんだ端子
定格通電電流
(A)
5以下 10 15 20 25
端子ねじの呼び径
(mm)
3 3.5 3.5 3.5 4
タブの呼び
(mm)
2.8 4.8 6.3

(a)はんだ端子
(b)ねじ端子
(b)ねじ端子
(c)タブ端子
(c)タブ端子

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