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制御機器の基礎知識〜マイクロスイッチ編〜

第五章 マイクロスイッチ・・・上手な使い方、故障と対策、検査

1.上手な使い方
2.故障と対策
3.検査

■ 1. 上手な使い方

この項では、前項に従って選択されたマイクロスイッチの取付方法、操作方法、結線方法、取扱い、保管方法などを正しく行うにはどうしたらよいかについて述べる。

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■ 1.1. 取付方法

ケースの材料はプラスチックを使っているので、取付ねじの大きさ、長さは規定のものを使用することはもちろんのこと、締付けトルクにも注意することが必要である。ケースを締めすぎた場合スイッチを破損することがあるので注意すること。表28に各種スイッチの適正締付け強度を示す。またこの場合、締付け後接着剤などで適当なゆるみ止めを施すことが望ましい。ハトメ、リベットなどで取付ける場合は、かしめ強度に十分注意し、エアープレスなどのように衝撃のあまり加わらない方法で取付けるようにしなければならない。

スイッチの取付穴を加工して大きくしたりしてはならない、これはケースやカバーを破損するだけではなく、仕様として定められている諸特性を保てなくなるからである。なお逆に、正確な定めより細いねじを用いるとズレが生じ、正確な動作位置の安定が保てない。またスイッチの取付面は壁に取付るのが最も望ましいが、フレームやアングル形式のところに取付るときは、取付面が平らであることが必要である。ねじれていたり、そりがあったりすると、スイッチもねじれたり、そったりして正確な動作をしなくなるので十分注意すること。 表28 各種スイッチの締付け強度一覧表
種類 使用ねじ 強度
Z形(A、D、Y形含む) M4 1.5N・m
V形 M3 0.5N・m
S形 M2・3 0.25N・m
D形 M2・3 0.25N・m
C、K形 M3 0.3N・m


取付面がプラスチック材料の場合は問題ないが、金属に取付けるときは、取付面とマイクロスイッチの間にシリコンガラスクロスなどの絶縁シートを介在させて取付け、十分な絶縁距離を確保する必要がある。なお、取付けたときにも絶縁距離がとれるように、絶縁ガードを設けたものも数種類製造されている。

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■ 1.2. 操作方法

マイクロスイッチは、大別するとピン押ボタン形のものとアクチュエータの付いたものに分けられる。アクチュエータはいろいろな形状のものがあるので、これらの構造に合った操作方法をとるようにする。図28にその例を示す。動作後の動き(OT)はマイクロスイッチの誤動作や寿命に大きな影響を与えるので、取付けに際し、ストロークは動作後の動き(OT)の規格値の70〜100%くらいの位置にとるようにする。

スイッチのアクチュエータの強度は、動作に必要な力の10倍以上の力に耐えるように設計されている。ただし、レバーをもった形ではスイッチを保護するため、強度の限界以上の力に対しては、レバーが折れ曲がることによって逃がしている。しかしこの場合でも、あらかじめメーカに問い合わせ確認の上作業にとりかかるべきである。

図28 操作方法の図示例

悪い例 良い例 悪い例 良い例
悪い例 良い例 悪い例 良い例
悪い例 良い例 悪い例 良い例
悪い例 良い例 悪い例 良い例
悪い例 良い例 悪い例 良い例
悪い例 良い例 悪い例 良い例


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■ 1.3. 結線方法

マイクロスイッチは定格表示の定格電流に合った線材は使用できるように設計されているが、端子を固定しているケースがプラスチックであるので、必要以上に大きな線材をしようすると、思わぬトラブルのもとになるので注意すること。またねじ締めの端子の場合、スイッチに付いているねじを使用するととはもちろんであるが、この場合も端子に過大なトルク、力が加わらないように注意すること。タブ端子についても同様である。

スイッチをはんだ付けする場合は特に注意しなければならない。加熱やペーストの流入のため劣化することがある。はんだごての温度は約300℃くらいが望ましく、小形のスイッチ(V形)以下の大きさのスイッチは3〜5秒以内にすべきである。これ以上のはんだ付けをすると、特性の変化もさることながら、スイッチそのものを破壊してしまう可能性がある。小形スイッチ(V形)以下の大きさのスイッチでケースおよびカバーに熱可塑性樹脂を使用したものも製造されているので、使用はんだごて、はんだ付け時間などのはんだ作業については特に注意が必要である。

また負荷の接続の仕方において、単極双役形、2回路双断形、分割接触形、双極双投形においてしてはならない接続、危険な接続の例を図29に示す。

図29 悪い接続の例
図29 悪い接続の例

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■ 1.4. 取扱い、保管方法

マイクロスイッチは小形で精密にできているので、使用前の取扱い上の不備(固い床、コンクリートなどに落としたりすること)が原因で、動作不良、あるいは特性劣化などになることがあるので注意すること。動作精度が0.01mm前後を要求される高感度スイッチの場合は当然慎重に扱う必要がある。一般に落下、投下、かきまぜなどは避けた方がよい。マイクロスイッチを保管する高温、多湿、じんあいの多いところでは絶縁性能の低下があり、周囲雰囲気の悪いところ、亜硫酸ガスなどの多い場所では銀接点を使用したマイクロスイッチでは、接触部に悪影響を与え、端子についてもはんだがつきにくくなるので避けなければならない。

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■ 2. 故障と対策

マイクロスイッチを使用する場合、要求される動作条件、寿命回数、開閉頻度、環境などの使用目的に合った種類のスイッチを選定することにより、前記第四章 正しい選び方の項及び1.上手な使い方の項にあることさえ間違わなければ、大半の故障は防止できるものである。スイッチの故障は、電気的なものと機械的なものに二分されるが、ここでは一般的でメーカの経験上比較的多い故障について述べる。

まず電気的なものの中で最も多いのが接点部である。この場合、故障というよりも接点材質の選択、接点の種類の選択(有または無接点)、環境条件の選択、負荷条件の選択などの誤りがほとんどである。次に機械的なものの中で多いのがアクチュエータ部、取付部、端子部などの故障である。いずれにしても、故障が起きた場合には故障の状態をよく観察して、初期故障か、偶発故障か、磨耗故障かなどを見極める必要がある。スイッチを交換すれば解消する故障ばかりではないからである。スイッチ不良であればスイッチを交換すればよいが、スイッチ不良か否かの判定も難しい場合が多いからである。また、スイッチ不良のほか、スイッチ仕様がその装置の使用条件に適しないために起こる故障も多く、状況に応じて様々な対策がなされる。スイッチの故障発生状況と考えられる推定原因ならびにその対策を表29に示す。

マイクロスイッチは原則として不良となったときはそのまま交換する必要がある、

基本的にマイクロスイッチは故障発生の状況が千差万別であり、また修理することが不可能なときが多く、スイッチ全体の交換によってのみ修理ができる場合が大多数を占める。メカニカルな機構部品の折損などの場合がその例でスイッチの量産性、機構性、かしめ、圧入を多く採用しているのもでは、修理のため一部分解すると再度組立てが不可能になる。あまり特殊なスイッチを使用すると代替品や交換品が入手しにくくなり困ることがある。標準品の場合でも慎重を期すためには、実用実験などによる実際の平均寿命を参考とする。

以上述べた留意事項のほか、運搬、作業途中の取扱には十分注意を払う必要がある。取扱い運搬途中での落下などによる破損、内部機構不良の発生は意外と多いものである。

最後に、どのような故障の場合においても、マイクロスイッチのような比較的構成部品の少ないスイッチでは、その故障箇所の発見が容易にできるのだから使用状況、故障状況をメーカと共同で調査検討するのが安全、確実な方法である。

表29 主な故障発生状況とその推定原因ならびに対策

  故障箇所 故障状況 推定原因 対策






接点部 接触不良 ゴミ、ホコリなどが付着している 原因を取り去る。ないしはボックス等に入れたり、封入形スイッチを使う
油、水などが侵入している
悪性周囲ガスの影響で接点表面に化学的な皮膜が生成されている 耐環境性に富む接点材質を有したスイッチに取り替える
低負荷領域での開閉で接点表面に化学的な皮膜が生成される
ハンダ付け時のフラックスが侵入している ハンダ方法の見直し、及びスイッチの取り替え
誤動作 振動や衝撃が加わり、接点が解離してしまう 接点接触力の高いスイッチに取り替える
溶着 接点の開閉容量に合わず過負荷となっている 耐溶着性に富むスイッチに取り替え又は、接点保護回路の挿入
絶縁劣化 アークにより接点が周囲に飛散している 耐溶着性に富むスイッチに取り替える
高温度で周囲温度の変化が激しく、水滴が多量に侵入している 原因を取り去る。ないしはボックス等に入れたり、封入形スイッチを使う
油などが侵入し、これがアーク熱などにより炭化している






アクチュエータ部 動作不良 アクチュエータに無理な外力が加わり摺動部が磨耗した 原因を取り去る。ないしは強度的に強い補助アクチュエータ等を使う
ゴミ、ホコリ、油など異物が侵入した 原因を取り去る。ないしはボックス等に入れる
作動物体の重量が重すぎ復帰しない OFの重いスイッチに取り替える
スイッチの取り付けがゆるいため、ガタが出て規定の動作位置で動作しない スイッチの締め付け力の見直し
破損 たたかれるような無理なショック荷重が加わった 原因を取り去る。ないしは強度的に強いスイッチに取り替える
カシメ部のカシメ不良、および組付不良 スイッチを取り替える
取付部 破損 強度の締め付け力が加わった スイッチの締め付け力の見直し
取り付けピッチが食い違っている ピッチを修正する
取り付け面が平坦でない 取り付け面を平坦にする
端子部 破損 結線作業時に無理な力が加わった 原因を取り去る
ハンダの熱でプラスチック材が変形した 低電力のハンダゴテを使用。ないしはスイッチを取り替える

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■ 3. 検査

検査の種類は次の二つに分けて行われる。

(1)形式検査&(3)受渡検査

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■ 3.1. 形式検査

JIS C 4526-1では、スイッチの形式検査は、表30に示す試験項目と試料番号が定められている。試験手順は、交流専用スイッチ、直流専用スイッチ及び交直流両用スイッチによって違うのでJISを参照されたい。

マイクロスイッチは、JIS表示品目に指定さてれいる。経済産業省の行うこの形式検査に合格するとJIS認定品として登録され、製品にJISマーク及びJIS形名が表示できる。従ってJIS認定品について、ユーザが改めて形式検査を、再度行うことはしないが、JISと異なる性能を要求する場合、ユーザから形式検査が要求されることがある。

表30 試験項目及び試材番号

JIS C 4526-1
の箇条番号
試験項目 試験材料
6 定格
1
7 分類
1
8 表示及び文書
1
9 感電に対する保護
1
10 アースに関する規定
1
11 端子及び端子部
1
12 構造
1
13 機構
3 4 5 6 7 8
14 固形異物、水の侵入及び高湿状態に対する保護
3 4 5 6 7 8
15 絶縁抵抗及び耐電圧
3 4 5 6 7 8
16 温度上昇
3 4 5 6 7 8
17 耐久性
3 4 5 6 7 8
18 機械的強度
- - 3 4 5 - - -
19 ねじ、通電部品および接続
- 2
20 空間距離、沿面距離及び絶縁物としての距離
- 2
21 耐熱性、耐火性及び耐トラッキング性
- 2
22 耐食性
- 2

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■ 3.2. 受渡検査

JISには受渡検査に関する規定がないので、ここではNECA規格の受渡検査について述べる。

受渡検査は、量産の納入ロットをユーザが受入するとき、予め検査個数及び合否判定条件をとり決めて行う。検査スロットの構成は次による。

(1)同一契約による基本機構、定格通電電流、接点間隔、アクチュエータ及び端子が同一のものを1ロットとする。

(2)1ロットの大きさが15個以下の場合は、(1)によらず100個を限度として、アクチュエータ及び端子の異なるものも同一としてまとめ、1ロットとしてもよい。

検査項目は次について行う。検査項目の一部または全部が省略されることもある。

(1)構造 (2)絶縁抵抗 (3)耐電圧 (4)接触抵抗

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<参考文献>

1. JIS C 4526-1 機器用スイッチ 5. 制御機器総合カタログ 山武
2. 2.NECA C 4505 マイクロスイッチ 6. 検出スイッチ製品技術資料 山武
3. ベスト制御機器OMROM オムロン 7. マイクロスイッチとその応用 庄司要著:日刊工業新聞社
4. NAiS制御 松下電工 8. 電子部品ハンドブック 富士通

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