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制御機器の基礎知識 センサ編

第八章 変位センサ

1.定義
2.種類
3.原理と構造
4.定格と性能
5.選び方
6.上手な使い方
7.故障と対策
8.レーザ安全について
アズビル株式会社の変位センサはこちら

■ 1. 定義

変位センサとは、検出体がある位置から他の位置へ移動したとき、その微少移動量を測定するセンサをいう。変位量を知ることで、検出体の高さ、厚みなどの寸法測定にも利用することができる。その移動量(変位量)を測定する方式として、光、磁界、あるいは音波を媒介とした非接触式のものと、ダイヤルゲージや差動トランスなどの接触式の変位センサがある。それらのうち本章では、光学式で反射光の入射角度の変化を応用した非接触の変位センサについて述べる。

光学式変位センサの特長としては、

(1)不透明体、半透明体の測定が可能。
(2)高精度。
(3)応答速度が速い。
(4)微少物体が測定できる。

などがある。

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■ 2. 種類

利用する反射成分によって、拡散反射形と正反射形がある。また、構成による分類としては、アンプ分離形、アンプ内蔵形があり、変位出力形態としては、電圧出力と電流出力がある。

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■ 3. 原理と構造

■ 3.1. 拡散反射と正反射の形状

三角測量を応用した方式で、投光素子と位置検出素子(PSD:Position Sensitivbe Device)の組合せで構成される。投光素子には、一般的に半導体レーザが用いられており、 その光は受光レンズを通して集光され、検出体に投射される。その際、検出体から拡散反射した光線の一部は受光レンズを通して位置検出素子上に光スポットを作る。検出体が移動すると、位置検出素子上の光スポットも移動するので、その位置変化を検出することで、検出体の変位量を検出することができる。

受光素子には、位置検出素子(PSD)ではなく、一次元イメージセンサを使用したものもある。位置検出素子(PSD)では、光スポット全体の光量重心位置のみの情報しか得られないが、一次元イメージセンサを受光素子としたものでは、各セルごとの受光量を検出することができるため、検出体の表面の影響によって、スポット内に光量のばらつきがあっても、より正確に光量のピーク位置を検出することができる。これにより、検出体表面の影響による誤差を大幅に抑えることができるという特徴がある。
図1 動作原理とセンサ部の構造
図1 動作原理とセンサ部の構造
図2 受光素子上のスポット光量分布
図2 受光素子上のスポット光量分布

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■ 3.2. 拡散反射と正反射の形状

検出体からの反射光は、拡散反射成分と正反射成分に分けて考えることができる。これらの反射光は、検出体の材質や表面状態によって異なり、光沢の少ない検出体では、拡散反射成分が支配的になるが、鏡面体や光沢のある検出体では正反射成分が支配的になる。そこで、光沢の少ない検出体を対象とする変位センサでは、より長い測定距離と、より広い測定範囲が間方となるように、拡散反射成分を受光するセンサ構造にし、精度を追求する高精度変位センサでは、検出体が鏡面体か鏡面に近いことが多いため、正反射成分を受光するセンサ構造としている。 図3 センサ部の投受光部形状
図3 センサ部の投受光部形状

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■ 3.3. その他の工学式変位センサ

スポット光と一次元受光素子の組合せではなく、スキャン光あるいはライン光と二次元受光素子を採用することで、検出体の形状を知ることができる二次元変位センサもある。

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■ 4. 定格と性能

■ 4.1. 測定中心距離

センサ部の投光部前面から測定範囲の中心までの距離で、電圧出力のものはこのときリニア出力電圧が0Vになるようにしたものが多い。 図4 測定中心距離
図4 測定中心距離

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■ 4.2. 分解能

検出体が静止している場合でも、リニア出力を拡大してみるとセンサ内部ノイズにより微少なゆらぎが発生している。このゆらぎの幅を分解能といい、幅が小さいほど分解能が高いという。

デジタル信号処理方式では、その測定値の最小読取値のことで、その測定値の最小読取値のことで、その機器が表示したり、デジタル出力できる最小数字のことである。
図5 リニア出力の分解能
図5 リニア出力の分解能

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■ 4.3. リニアリティ(直線性)

変位センサのリニア出力は変位量に対して比例の関係にあり、ほぼ直線的である。しかし理想直線に対して、わずかなズレがあり、リニアリティとはこのズレが理想直線に対してどの程度の範囲にあるかを表したものをいい、リニアリティ誤差ともいう。

デジタル信号処理方式では、その測定値の最小読取値のことで、その測定値の最小読取値のことで、その機器が表示したり、デジタル出力できる最小数字のことである。
図6  リニアリティ(直線性)
図6  リニアリティ(直線性)

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■ 4.4. スポット径(ビーム径)

検出体が連続的に回転あるいは振動するような場合、出力量には実際の変位の速度(周波数)に追従できる限界があり、出力が−3dB(約70%)に減衰するときの周波数を応答周波数としている。 図7 スポット径
図7 スポット径

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■ 4.5. リニア出力の応答周波数

検出体が連続的に回転あるいは振動するような場合、出力量には実際の変位の速度(周波数)に追従できる限界があり、出力が−3dB(約70%)に減衰するときの周波数を応答周波数としている。 図8 リニア出力の応答周波数
図8 リニア出力の応答周波数

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■ 4.6. リニア出力の応答時間

検出体が段差測定の場合のようにステップ的にある点からある点に瞬時に移動した場合、リニア出力が最終値の10%から90%に達するまでの時間をいう。誤差を1%以下に抑えたい場合は、定格値の2〜3倍の時間が必要となる。 図9 リニア出力の応答時間
図9 リニア出力の応答時間

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■ 4.7. リニア出力の温度ドリフト(温度特性)

周囲温度が変化した場合、リニア出力も変動する。この変動幅を温度ドリフトといい、1℃の変化に対する値で表している。例えば「0.01% FS/℃」では、FS(Full Scale)=10Vとすると、1℃あたりFSの0.0.1%つまり1mVの変動を表している。

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■ 4.8. オフセット調整

リニア出力値をプラス方向あるいはマイナス方向にシフトさせる調整をいう。基準検出体などの位置を原点として0に戻す用途が多いことからゼロ点調整ともいわれる。調整範囲は、プラス/マイナスにシフトできる範囲を示す。センサ部取付後のリニア出力の微調整にも利用できる。 図10 オフセット調整
図10 オフセット調整

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■ 4.9. スパン調整

変位量とリニア出力の比率を補正する機能。検出体の色や材質の違いで変位量/出力比が1:1とならない場合に、スパン調整で出力の補正を行う。 図11 スパン調整
図11 スパン調整

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■ 5. 選び方

まず、検出体が、光沢の少ないものか、鏡面体あるいは鏡面に近いものかによって、拡散反射形か正反射形かを選択する。

次に機械的に必要な検出体とセンサ部との距離、変位値(測定範囲)、必要精度を勘案しながら測定中心距離別の機種を選択する。精度としては、分解能、リニアリティ、温度ドリフト、応答性、さらに検出体が傾斜している場合は角度特性などが総合的に加算されたものとなることを考慮すること。また、定格値の分解能、リニアリティは、メーカの一定測定条件での規定値であり、表面状態、反射光量、色ムラ、材質などメーカ測定条件とは異なる実際の検出体では、定格値と異なる。メーカ貸出制度などを利用して、予め実際に測定する検出体で確認しておくこと。

薄物シートなどの2台のセンサでの両側からの厚み測定や、複数のセンサでの近接段差測定などでは、干渉により出力が不安定になるので、センサ2台を交互発光させる相互干渉防止機能付のものを選択する必要がある。

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■ 6. 上手な使い方

■ 6.1. センサ部の取付方向

(1)段差のある検出体の変位測定
段差のある検出体の変位測定を行う場合は、段差部のエッジの影響を最小限に抑えるため、図(a)のように取り付けること。
図12 段差測定での取付
図12 段差測定での取付

(2)偏心測定
回転体の偏心を測定するときは、図(a)の方向に取り付けると回転体の上下の振れ、位置ずれの影響をうけにくくなる。
図13 偏心測定での取付
図13 偏心測定での取付

(3)色・材質が極端に異なる検出体の変位測定
色・材質が極端に異なる場合には、図(a)のように境界線と平行に取り付けると測定誤差を最小に抑えることができる。
図14 境界測定での取付
図14 境界測定での取付

(4)センサ部を壁面に取り付ける場合
壁面からの反射光が受光部に入らないよう図(a)のように取り付けること。また、壁面に光沢がある場合はつや消しの黒色にすると効果的である。
図15 壁面での取付
図15 壁面での取付

(5)光沢金属物体の変位測定
光沢の強い金属物体では、表面のわずかな凹凸などによる正反射光が拡散反射光と混ざってセンサ受光部に不要な乱反射光として入り、測定不能や不安定動作になることがある。このような場合は、センサを検出体に対して傾けることで測定が可能となる場合がある。ただし、直線性は低下する。
図16 光沢金属物体測定での取付
図16 光沢金属物体測定での取付

(6)黒色物体の変位測定
検出体が反射率の低い黒色物体のような場合、検出体からの反射光量が少なくなり、受光素子から得られる信号が小さくなって、分解能が低下する。このような場合は、図のように取り付けると受光量を多くすることができ、分解能が高くなる。
図17 正反射方向に傾ける
図17 正反射方向に傾ける
図18 測定範囲内で接近させる
図18 測定範囲内で接近させる

(7)穴の中の変位測定
穴の中の検出体の変位を測定する場合、投光部からの光と検出体からの反射光が穴の壁面に遮られないように取り付けること。
図19 穴の中の変位測定での取付
図19 穴の中の変位測定での取付

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■ 6.2. 互換性

一般にセンサ部とアンプ部は、セットで調整されており、他のセットと互換性がない。そのため、仕様精度を確保するためには、センサ部とアンプ部にあるシリアルナンバーを合わせて使用することが必要である。近年では故障時のメンテナンス性を考慮して、センサ部とアンプ部の互換性を持たせたものもあるので、センサ選択の際に確認されたい。

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■ 7. 故障と対策

■ 7.1. 保守

変位センサの特性に大きく影響する要因としては、

(1)電気的特性の変化および構造的変化によるリニアリティ変化

(2)レーザの劣化による分解能低下

の2つがある。

リニアリティ変化に関しては、経時的に微妙に変化する場合があり、メーカによっては再調整可能である。しかしながら、使用者側で、基準検出体などにより、データ補正している場合は、この変化分も同時に補正されることになり、特に再調整する必要はない。

投光・受光面の汚れ(ほこり、指紋、水、油など)も、リニアリティ変化、分解能低下が発生するので、注意のこと。汚れた場合は、ほこりのでない柔らかい布やレンズ用クリーナーなどで丁寧に拭き取ること。

レーザの劣化による分解能低下の場合は、ヘッド部交換またはメーカへの修理依頼とすること。

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■ 7.2. レーザの寿命について

使用している半導体レーザには寿命があるが、可視光、不可視光の違いや素子間のバラツキ、使用環境(周囲温度)によって、大きく異なり、明確には規定されていない。通常の使用環境では、5年程度と考えてよい。

レーザの寿命は、使用周囲温度に大きく依存するので、発熱部の近くで使用する場合は、冷却するのなど、できるだけセンサ周囲温度を下げることが必要である。

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■ 8. レーザ安全について

■ 8.1. レーザ光の安全基準

レーザから放出されたレーザ光は、たとえ小さな放出量であっても パワー密度が高く、人体に有害となる場合がある。そのため、レーザ機器に関しては、国内・外でレーザ安全対策が規定されている。

国内では、JIS C 6802でレーザ製品をその危険度に応じてクラス分けし、各クラス毎に必要とする安全対策が規定されている。表1にそのクラス分けの概要を、表2に使用者が行わなければならない安全予防対策の概要を示す。

レーザ製品を使用した装置を米国に輸出する場合は、米国のレーザ規制(FDA:Food and Drug Administrationの規制)を受け、CDRH(Center for Devices and Radiological Health)への届出が必要である。IEC規格とは、クラス分けや表示内容が異なるので注意が必要である。

欧州に輸出する場合は、JIS C 6802のもと規格であるIEC 60825-1に従うこと。

表1 クラス分けの概要

クラス 危険評価の概要
クラス1 設計上本質的に安全である。
クラス2 可視光(波長400〜700nm)で低出力:通常目のまばたき反射作用を含む嫌悪反応によって目の保護がなされる。
クラス3A 裸眼での観察に対して安全である。光学的手段(望遠鏡、顕微鏡等)で直接ビーム内観察をすると危険となる場合がある。可視光の場合は出力5mW以下。可視光以外の波長では、クラス1出力の5倍以下。
クラス3B 直接ビーム内観察をすると危険である。拡散反射の観察は通常安全。
クラス4 高出力:危険な拡散反射を生じる可能性がある。これらは、皮膚障害をもたらし、また火災を発生させる危険がある。

表2 使用者の安全予防手段の要約

クラス クラス1 クラス2 クラス3A クラス3B クラス3B クラス4
リモートインターロックの使用 不要 レーザのリモートインターロックを非常用主インターロック、部屋、ドアのインターロックなどに接続する。
鍵による制御 不要 レーザを使用しないときには鍵を外しておく。
ビーム減衰器または遮光器 不要 周囲の人に対する不注意な露光を防止するために使用する。
警告表示 不要 レーザ製品が設置された場所の入口に適切な警告標識を掲示する。
ビーム光路 不要 ビームを終端すること。原則としてビームを閉じ込める。開放する場合はビームは目の高さを避ける。
鏡面反射 不要 予期しない反射を防止するため、光学素子を確実に取り付け、レーザ放射中は光学素子類の動作を制御下に置くこと。
目の保護 不要 規定された特別な場所を除き、使用すること。
保護着衣 不要 皮膚に対するMPEを超える放射にさらされる危険性があるとき着用する。
訓練 不要 レーザシステムの制御は適切な教育・訓練を受けた者に限定。

※可視域で5mW以下の場合

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■ 8.2. レーザを安全に使うための注意

(1)レーザ光が直接あるいは鏡面体に反射して目に入らないように使用すること。
(2)レーザ使用センサには、クラス、レーザ仕様、注記を表示したラベルが添付されているので、取扱いはラベルの内容にしたがうこと。
(3)光軸調整をする場合は、IRスコープや赤外線を可視光に変える蛍光板などを使用すること。

出典: 社団法人 日本電気制御機器工業会
「制御機器の基礎知識」−選び方・使い方− センサ編 2001年7月

掲載の記事・図表などの複写及び無断転載を禁止します。
著作権は社団法人 日本電気制御機器工業会に属します。
一部誤記修正しています。

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