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制御機器の基礎知識 センサ編

第四章 非接触センサ(近接スイッチ)

1.近接スイッチとは
2.用語の定義
3.近接スイッチの分類
4.上手な使い方
山武の近接センサはこちら

注)文中では近接スイッチとしていますが、弊社での呼称は「非接触センサ」と しています。ご了承ください。


■ 1. 近接スイッチとは

センサの中で物体の接近及び、近傍の物体の有無を非接触で検出するものを総称して近接スイッチと呼んでいる。JIS規格(JIS C 8201-5-2)では、金属の存在を検出する誘導形近接スイッチ、金属及び非金属物体の存在を検出する静電容量形近接スイッチ、音響反射物体を検出する超音波近接スイッチ、物体の存在を検出する光電形近接スイッチを近接スイッチと定義している。窓、扉、檻、などの開閉状態の確認から、高度な自動組立てラインでの位置検出、タイミング検出、欠品、計数管理など、応用範囲は広い。マイクロスイッチやリミットスイッチのように可動部を持ち検出対象に接触し機械的なエネルギーにて接点を開閉するものに対し、非接触で物体の有無を検出するので、高速応答、長寿命、高い信頼性が期待できる。なお、JIS規格(JIS C 8201-5-2)は国際規格(IEC60947-5-2)に準拠して規格されており、近く国際規格に追加予定の磁気形近接スイッチについても本項で説明する。
また、検出対象までの距離やタンク内の液位などをアナログ値にて出力するものや接点出力を有するものはJIS規格の近接スイッチには適さないが、各項ではこれらの出力を有するものも含めて説明する。

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■ 2. 用語の定義

JIS規格で定義されている用語の定義を基本定義、要素・動作ごとの定義、閉閉素子特性、端子及びリード線色に分けて示す。

■ 2.1. 基本定義

表1に近接スイッチの基本用語の定義を示す。

表1 近接スイッチの基本用語の定義

用語 定義
近接スイッチ 可動部による機械的接触なしに動作する位置検出用スイッチ
誘導形近接スイッチ 半導体開閉素子を備え、検出領域内に磁界を発生させる近接スイッチ
静電容量形近接スイッチ 半導体開閉素子を備え、検出領域内に電界を発生させる近接スイッチ
超音波形近接スイッチ 半導体開閉素子を備え、検出領域内で超音波を送・受波するを発生させる近接スイッチ
光電形近接スイッチ 半導体開閉素子を備え、可視、不可視光線の反射または遮光のいずれかにより物体を検出する近接スイッチ
磁気形近接スイッチ 半導体開閉素子を備え、磁気検出素子と磁石(静磁界)の組合わせにより、検出体が接近したときの磁束変化を利用して検出する近接スイッチ

(引用 JIS C 8201-5-2:1999)注:磁気形近接スイッチは除く

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■ 2.2. 近接スイッチの要素

表2に近接スイッチの要素の定義を示す。

表2 近接スイッチの要素の定義

用語 定義
半導体開閉素子 半導体の誘導率を制御することにより、電気回路の電流を切り換えるよう設計された素子
基準軸 誘導形、静電容量形、超音波形近接スイッチの基準軸-検出面に垂直で、その中心を通る軸
リフレクタ形(R)と反射形(D)の光電形近接スイッチの基準軸 投光と受光の素子またはレンズの光軸の中心にある軸
透過形(T)光電形近接スイッチの基準軸 投光器の中心に垂直な軸
標準検出体 動作距離と検出距離の比較測定のために使われる定められた物体
フリーゾーン 近接スイッチの特性に影響を与える物体の全くない近接スイッチの周囲の領域
感応物質 近接スイッチの特性に影響を与える物質
不感応物質 近接スイッチの特性に影響を与えない物質
音響反射物 超音波を反射し、検出可能な反響をする物質
吸音材 超音波に対しほんのわずかの反射特性を持ち、検出に影響する反響をしない物質
埋め込み形近接スイッチ 検出面の平面周囲に感応物質を置いても特性に影響を与えない近接スイッチ
誘導形近接スイッチの検出面 磁界が発生する近接スイッチの表面
静電容量形近接スイッチの検出面 電界が発生する近接スイッチの表面
超音波形近接スイッチの検出面 超音波を送・受波する近接スイッチの表面
投光器 光ビームを供給する光源、レンズ及び必要な回路
受光器 投光器から与えられた光ビームを感知するための検出素子、レンズ及び必要な回路
リフレクタ リフレクタ(R)形の光電形近接スイッチにおいて、光を受光器に戻すために使われる部品
静電容量形近接スイッチの調整器 動作距離を調整するための静電容量形近接スイッチの一部。これを調整することにより、検出体の材質、媒体の材質及び設置条件による影響を補正できる
超音波形近接スイッチまたは、光電形近接スイッチの調節器 動作距離を検出範囲に調整するための超音波形近接スイッチまたは、光電スイッチの一部

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■ 2.3. 近接スイッチの動作

表3に近接スイッチの動作の定義を示す。

表3 近接スイッチの動作の定義

用語 定義
動作距離(S) 基準軸に沿って検出体が検出面に接近し出力が反転する距離
定格動作距離(Sn) 動作距離を定めるための規定値。この数値には電圧・温度などの外部条件及び製造公差の変化を考慮していない
検出範囲(Sd) 動作距離を調整できる範囲(不感帯を除く)
最小動作距離 超音波又は、光電形近接スイッチ特有の検出範囲の下限値
最大動作距離 超音波又は、光電形近接スイッチ特有の検出範囲の上限値
不感帯 検出面と最小動作距離の間で、検出体を検出できない部分
全ビーム角度 超音波形近接スイッチにおいて基準軸の周りの立体角をいい、そこでは音響レベルが3dB低下する
実効動作距離(Sr) 個々の近接スイッチで一定の温度、電圧及び取付け条件の下で測定した動作距離
有効動作距離(Su) 個々の近接スイッチで特定の条件で測定した動作距離
保証動作距離(Sa) 検出面からの距離をいい、この距離以内の特定条件での正しい動作が保証される
横方向近接 基準軸に垂直な状態で検出体が接近する検出方法
縦方向近接 基準軸の中心を維持した状態で検出体が接近する検出方法
繰り返し精度(R) 指定された状態での実効動作距離(Sr)の変動値
応差(H) 検出体が近接スイッチに接近したときの動作点と、検出体が離れて行くときの復帰点との間の距離

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■ 2.4. 開閉素子特性

表4に近接スイッチの開閉素子特性に関する用語の定義を示す。

表4 近接スイッチの開閉素子特性に関する用語の定義

用語 定義
メイク機能 検出体が検出されたときに負荷電流を流し、検出体が検出されないときに負荷電流を流さない機能
ブレイク機能 検出体が検出されたときに負荷電流を流さず、検出体が検出されないときに負荷電流を流す機能
メイク-ブレイク(切換え)機能 一つのメイク機能と一つのブレイク機能をもつ開閉素子の組み合わせ
近接スイッチの応答時間 検出体が検出領域に入る、または出た後、開閉素子が応答するのに必要な時間
光電形近接スイッチのターンオン時間 検出体が余裕利得2(光電スイッチの余裕利得参照)の検出範囲に入った後、開閉素子が応答するのに必要な時間
光電形近接スイッチのターンオフ時間 検出体が余裕利得0.5(光電スイッチの余裕利得参照)の検出範囲に入った後、開閉素子が応答するのに必要な時間
スナップアクション 検出体の速度に影響されないで確実に開閉を行う機能
動作サイクル周波数(f) 特定期間に近接スイッチが行った動作サイクル数
使用可能になるまでの遅れ時間(tv) 電源電圧のスイッチオンと近接スイッチが正しく動作する準備が整うまでの時間差
オフ状態電流(lf) オフ状態で、近接スイッチの負荷回路を流れる電流
最小使用電流(lm) 開閉素子のオン状態の通電を維持するのに必要な電流
無負荷電流(lo) 負荷が接続されていないときに3または、4線式の近接スイッチに電源から供給される電流
光電形近接スイッチの余裕利得 光電形近接スイッチが受けた光と光電形近接スイッチが動作するのに必要な光との比率
光電形近接スイッチの周囲光 周囲光とは、投光器から発する光以外の、受光器が受ける光

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■ 2.5. 端子及びリード線色

表5に近接スイッチの端子及びリード線色の定義を示す。なお、緑/黄のストライプは保護導線を識別するためだけに使用される。歴史的背景もあり、緑色は保護接地導体を識別する目的以外に使用してはならない。

表5 近接スイッチの端子及びリード線色の定義

形式 機能 リード線 リード線色 端子番号
(注3)
交流2線式
及び
直流2線式無極性
NO(メイク)   緑、黄
及び
緑/黄の
ストライプ
以外の色
(注2)
3
4
NC(ブレイク) 1
2
NO/NC
(プログラマブル)
1
4
有極性直流2線式 NO(メイク) +
-
茶色
1
4
NO(ブレイク) +
-
茶色
1
2
有極性直流3線式 NO(メイク) +
-
出力
茶色

1
3
4
NO(ブレイク) +
-
出力
茶色

1
3
2
交流3線式
及び
有極性交流/直流3線式
NO(メイク) L

出力
茶色

1
3
4
NO(ブレイク) L

出力
茶色

1
3
2
有極性直流4線式 切換え
(メイク/ブレイク)
+
-
NO出力
NC出力
茶色


1
3
4
2
注2 両リード線とも同色が望ましい
注3 端子番号はコネクタピン番号と同じにしなければならない
    (交流用近接スイッチと3線式で8mmコネクタを使用している近接スイッチは除く)

(引用 JIS C 8201-5-2:1999)

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■ 3. 近接スイッチの分類

近接スイッチの検出方法による分類を表6に示す。

検出方法による分類は、第1位の1英大文字で示す。
据付による分類は、第2位の1けた数字で示す。
シールブーツを使用したタイプを金属の切削屑の存在する場所で使用する場合は、シールブーツを切損するので好ましくない。
開閉素子機能による分類は、英文字で表し、第4位におく。
出力形式による分類は、英文字で表し、第5位におく。
接続方法による分類は、第6位におかれた1けた数字で示す。
超音波波形近接スイッチの例を以下に示す。

U3A30AD2
U=超音波形
3=制限なし
A30=円柱ねじ形状30mm
A=NO(メイク)
D=直流2線式
2=差込式

表6 近接スイッチの検出方法による分類

第1位
/1文字
第2位
/1文字
第3位
/3文字
第4位
/1文字
第5位
/1文字
第6位
/1文字
検出方法 据付 形状及び大きさ 開閉素子機能(出力) 出力形式 接続方法
1 = 誘導形
C = 静電容量形
U = 超音波形
D = 反射形光電形
R = リフレクタ形光電形
T = 透過形光電形
1 = 埋込み形
2 = 非埋込み形
3 = 制限なし
形状(1英大文字)
A = 円柱ねじ形状
B = 円柱円筒形状
C = 断面が正方形の角形
D = 断面が長方形の角形
寸法(二桁数字)直径又は1辺の長さ
A = NO(メイク)
B = NC(ブレイク)
C = 切換(メイク-ブレイク)
P = 使用者によるプログラム可能
S = その他
P = PNP出力 直流3線式又は4線式
N = NPN出力 直流3線式又は4線式
D = 直流2線式
F = 交流2線式
U = 交流又は直流2線式
S = その他
1 = リード線引出式
2 = 差込式
3 = ねじ端子式
4 = その他

(引用 JIS C 8201-5-2:1999)

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■ 4. 上手な使い方

近接スイッチの性能を十分に発揮させるためには、その特性を考慮した使い方が必要である。ここでは各近接スイッチに共通する項目について述べる。
一番重要なことは、近接スイッチの仕様の範囲内で使用することである。

■ 4.1. 電源

(1)電源リセット時間について
近接スイッチは電源投入後300ms以内で検出可能状態になる。負荷と近接スイッチを別電源にする場合は、必ず近接スイッチの電源を先に投入すること。
(2)電源オフ時について
電源オフ時に出力パルスが発生する場合があるので、負荷あるいは負荷ラインを先行してオフすること。
(3)電源の種類
無平滑の全波整流、半波整流電源は、リプルが多いため使用できないので、必ず平滑された電源を使用すること。
(4)電源電圧について
使用電圧範囲を超えて使用しないこと。使用電圧範囲以上の電圧を印加したり、直流電源タイプの近接スイッチに交流電源(AC100V)を印加すると、破裂したり焼損したりする恐れがある。

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■ 4.2. 他の機器との接続、配線

近接スイッチの出力は多くの種類があり、直接あるいはリレーを介して他の機器の入力に使用されている。正しく信号を伝えるためには、電源の種類、電流・電圧仕様が入出力間で整合している必要がある。
ここでは代表的な留意点について述べる。
(1)接続する他の機器の電気的条件と近接スイッチの電気的性能が整合していること。
(2)リード線延長時の長さは、一般的に0.3mm2以上の電線で100m以内とすることが望ましい。ただし、アンプ分離形のセンサ-アンプ間においては、指定のリード線にて10m以内とすることが望まれる。
(3)繰り返して屈曲使用時は、耐屈曲性仕様の近接スイッチを使用する。
(4)外部電界への影響
トランシーバ、携帯電話、PHSなどの無線機器を近接スイッチ及びその配線付近に近づけた場合、誤動作する恐れがあるので、近づけないこと。
(5)高圧線との区別(配線方法)について
高圧線、動力線と光電形近接スイッチの配線が同一配管、あるいはダクトで行われると誘導を受け、誤動作あるいは破損の原因となる場合があるので、別配線または単独配線を原則とすること。
(6)誤配線について
誤配線は、破裂したり焼損したりする恐れがあるので、電源投入前に電源の極性など、誤配線がないか十分確認すること。
(7)負荷なし接続及び負荷短絡について
負荷なしで出力に電源を直接接続すると、内部素子が破裂したり焼損したりする恐れがあるので、必ず負荷を入れて配線すること。同様に負荷を短絡させないこと。
(8)リード線の引っ張り強度について
直径8mm以上のリード線に対しては160N以下、直径8mm未満のリード線に対しては、リード線外径(単位mm)の20倍の値(単位N)以下で使用すること。

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■ 4.3. 取付

近接スイッチはさまざまな環境で使用することができるが、厳しい使い方、特殊な雰囲気中で使用する場合、あらかじめ充分な検討が必要である。

ここでは、代表的な留意点について述べる。

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■ 4.4. 環境条件

(1)近接スイッチの仕様範囲内で使用すること。
(2)急激な温度変化、温度変化のサイクルがある場合、十分検討すること。
(3)屋外での使用。
(4)振動・衝突、水や油、化学薬品のかかる環境での使用。
(5)誘導形近接スイッチの場合は周囲金属の影響、超音波形近接スイッチの場合は空気ゆらぎや風の影響、光電形近接スイッチの場合は周囲光の影響などを考慮すること。

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■ 4.5. 検出体の寸法と材質

近接スイッチは非接触検出器であるから、検出体から離れて取り付けられる。このため、設定距離を不適合な値にとると、検出動作を行わなかったり、時々、検出しないという現象を生じたりする。誘導形検出スイッチ、静電容量形検出スイッチ及び反射形の超音波形近接スイッチ、光電形近接スイッチの場合は検出体の寸法が標準検出体より小形であれば、動作距離がカタログ定格値よりも短くなる。また、材質や表面状態が変れば、動作距離がカタログ定格値と異なる。従って次のように実測を行う。

検出体を近接スイッチ基準軸上で動かし、動作距離を測定する。
カタログ定格値以内で、測定した値に余裕をもった(例えば70%以内)設定距離になるように近接スイッチを取り付ける。

なお、各近接スイッチの特性や感度調整の有無によって異なるので、詳細は各近接スイッチの使い方を参照されたい。

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■ 4.6. 機械的保護

近接スイッチに検出体が衝突し、ケースが欠けたり、折れたりすることがある。このような事故を防ぐため、近接スイッチの周囲に適当な防護壁を設けると良い。 図1 保護管によるリード線の保護
図1 保護管によるリード線の保護

リード線に対する保護としては、コネクタ式のものは図1のようにステンレス製スパイラルチューブなどの保護管を接続すると良い。リード線引出し式の場合はできるだけ近接スイッチに近い場所でステンレス製スパイラルチューブなどの保護管に収容する。

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