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第五章 近接センサ(誘導形近接スイッチ)
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第五章 近接センサ(誘導形近接スイッチ)
制御機器の基礎知識 センサ編
第五章 近接センサ(誘導形近接スイッチ)
1.定義
2.種類
3.原理と構造
4.定格と特性
5.選び方
6.上手な使い方
山武の近接センサはこちら
注)文中では誘導形近接スイッチとしていますが、弊社での呼称は「近接センサ」と しています。ご了承ください。
■ 1. 定義
■ 1.1. 定義
誘導形近接スイッチとは、半導体開閉素子を備え、検出領域内に磁界を発生させる近接センサのことであり、高周波発振回路に結合したコイルを検出素子とし、検出体が接近あるいは、存在すると電磁誘導作用により、近接金属体内に誘導電流が流れ検出コイルのインダクタンスや損失の変化によって、発振回路定数が変化し、発振振幅や発振周波数が変化するのを利用して検出する方法である。
現在実用化されている誘導形近接スイッチの大部分は、近接金属体により発振が停止または発振振幅が低下するのを利用して検出する方式である。
■ 1.2. 特徴
誘導形近接スイッチの特徴は
(1)一般に、金属のみを検出し、とりわけ磁性金属(鉄、ニッケル)に対する検出感度が高い。しかし、最近は非磁性金属に感度の高い誘導形近接スイッチも開発されている。
(2)非金属材料(ガラス、プラスチック、セラミック、紙、木材など)は検出しない。
(3)動作距離の精度が比較的高く、JIS規格では実効動作距離は定格動作距離値の±10%以下と定義している。
(4)動作サイクル周波数が速い。
(5)検出時に、吸引力、または反発力といった力はほとんど働かない。
(6)小形のものが製作できる。
(7)耐環境性に優れたものが製作できる。
(8)比較的、安価である。
などである。
■ 2. 種類
■ 2.1. 構成による分類
(1)アンプ内蔵形
図1に示すように、一つのケース内に誘導形近接スイッチの動作に必要な、すべての回路を収容したもので、外部より電源を供給してやれば、他の機器を制御可能な出力信号を得ることができる。
この形式の誘導形近接スイッチは、
図1 アンプ内蔵形近接スイッチの構成
・
検出コイルと発振回路が一体となっているのでノイズに強く、出力信号を長く引っ張ることができる。
・
検出感度が一定範囲内に調整されており、製品個々の実効動作距離のバラツキが少ない。
・
検出のための回路が一体となっているので、温度特性が良好。などの特徴を持ち、現在使用されている誘導形近接スイッチの大部分がこのアンプ内蔵形である。
(2)アンプ分離形 検出に必要な機能を2ヶ以上に分離して構成した誘導形近接スイッチである。図2に示すように検出コイル、または検出コイルと発振回路の一部より構成された「センサ部」と、検出に必要な回路をまとめた「アンプ部」より成る。
検出コイルと発振回路が離れているため、途中のリード線よりノイズを拾いやすく、またリード線の持つインピーダンスのため検出能力が低下する。
図2 アンプ分離形近接スイッチの構成
これらの影響のため、センサ部よりアンプ部までの距離は一般に数m以内に制限されることが多い。
また、検出コイルと発振回路が別製品になるため、検出感度の調整は現場合わせとなり、調整が不確実になる可能性がある。
誘導形近接スイッチが開発された当初は、このアンプ分離形が多かったが、前記の欠点のため次第にアンプ内蔵形に置き換わり、現在では超小形や特殊な形状のもの、高精度タイプ、100℃以上の高温度域、−40℃以下などの特殊な環境に対応する用途に使用されている。
■ 2.2. 形状による分類
誘導形近接スイッチの代表的な形状と、その用途を表1に示す。
どの形状の近接スイッチを使用するかは、検出体の大きさ、検出場所、取付方法などをよく検討し最適の形状を選択すべきである。
形状はJIS規格で規格化された形状もある。
表1 形状と用途
名称
形状
特徴
用途
角形( 角柱形、 薄形)
小形、安価
ビスによる取付
樹脂ケースが多い
一般用
周囲環境のよい場所での使用
円筒形 (円柱形)
外周にねじを切ってある
ナットまたはねじ込んで取付
金属ケースのものは強度大
一般用
埋込み形は金型などに埋込み使用
柱形(角柱形、円柱形、平置形、フラット形)
大形、ケース強度大、長動作距離
クレーン台車の停止位置確認
大形物体の検出
貫通形
環状の検出ヘッド内を通過させて検出
小物体の検出
溝形(U字形、コの字形)
溝の内側を通れば検出するので、取付位置調整が容易
位置検出
歯形円板と組合わせて、パルス発振器とする。
浮子の検出
多点形
数台の近接スイッチが組込まれている。
近接スイッチ間の間隔が狭く相互干渉がない。
工作機械のタイミングカム検出用
■ 2.3. 出力形式による分類
出力形式により以下のように分類される。
(1)PNP出力
(2)NPN出力
(3)直流2線式
(4)交流2線式
(5)交流2線式または直流2線式(兼用タイプ)
(6)その他(アナログ出力など)
■ 2.4. その他
(1)誘導形近接スイッチの検出コイル部の構造により次の二つに分けられる。
(a)
埋込み形
検出面の平面周囲に感応物質を置いても特性に影響を受けない構造のものを埋込み形近接スイッチと言う。 近接スイッチのケースが金属で作られているものが大部分であるが、樹脂ケースで作られているものもある。
(b)
非埋込み形
特性を維持するために検出面の周囲にフリーゾーン(感応物体がない空間)が必要なものを非埋込み形近接スイッチと言う。
近接スイッチのケースが金属で作られていても検出コイルの周囲は非金属材料で作られている構造が特徴である。
非埋込み形は、同寸法の埋込み形より検出距離が長いが、反面周囲金属の影響を受けやすい。
このため検出コイル部分は周囲の金属の影響を受けないようにフリーゾーンをもうけて取付ける必要がある。
(2)検出時の出力状態により次の二つに分けられる。
(a)
メイク機能
検出体がない時に出力開閉素子がオフし、検出体を検出した時に出力開閉素子がオンするタイプを言う。
(b)
ブレイク機能
検出体がない時に出力開閉素子がオンし、検出体を検出した時に出力開閉素子がオフするタイプを言う。
■ 3. 原理と構造
■ 3.1. 動作原理
誘導形近接スイッチの動作原理は、図3に示すように検出コイルより出る高周波磁界中に金属物体(検出体)が接近すると、近接金属中に電磁誘導現象による誘導電流が流れ、金属内に熱損失が発生する。
この誘導電流による熱損失は、検出コイルを通じて発振回路より引き出されたものであり、この結果、発振回路は発振状態を維持することができず、発振が減衰するか、または停止する。
近接スイッチ内に図4に示すように発振状態を検出する回路があり、発振が減衰または停止すると直ちに出力信号を発生させる。
以上が最も広く使用されている方式の動作原理であるが、この他にも
図3 動作原理
図4 誘導形近接スイッチの電気回路の構成
・
発振周波数や位相の変化を利用したもの、
・
インダクタンスブリッジを利用したもの、
・
検出体接近により、発振を開始させるもの、
■ 3.2. 構造
図5は誘導形近接スイッチの構造の一例を示す。 次に誘導形近接スイッチに使用されている主要部品について説明する。
(1)検出用コイル
検出体の近接を検出するためのもので、誘導形近接スイッチの重要部品である。
図6は検出コイルの一例を示す、同図aは検出コイルの構成部品、同図bは各部品を組立てた状態を示す。
図5 近接スイッチの内部構造
図6 検出コイルの構造
コアは高周波特性の良い材料(例えばフェライト)で作られ、コイルの性能を高めると共に磁束を前面に集中させる効果を持つ。
キャップは一般的に合成樹脂で検出コイルを外部雰囲気から遮断、保護するが、磁力線は自由に通過できる。検出面でのキャップの厚みは1mm前後ときわめて薄く作られている。
検出コイルは近接スイッチの重要部品であるが、上記のように薄い合成樹脂製のキャップで保護されているだけであるから機械的にも弱く、この部分に無理な力を加えると検出コイルが破損することがあるから取扱いには十分注意してほしい。
(2)電子部品
トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどがプリント基板上に搭載されて発振回路、発振状態検出回路、出力、電源回路などを構成している。
また、形状が小型化されるに伴い、モノリシックICや、ハイブリッドICを用いている。
検出状態になると点灯する動作表示灯には発光ダイオードが用いられている。
キャップは一般的に合成樹脂で検出コイルを外部雰囲気から遮断、保護するが、磁力線は自由に通過できる。検出面でのキャップの厚みは1mm前後ときわめて薄く作られている。
検出コイルは近接スイッチの重要部品であるが、上記のように薄い合成樹脂製のキャップで保護されているだけであるから機械的にも弱く、この部分に無理な力を加えると検出コイルが破損することがあるから取扱いには十分注意してほしい。
(3)ケース
・
合成樹脂ケース
一般に安価で比較的小型の製品に多く用いられている。機械的強度と周囲環境に対する耐性がやや不足ぎみではあるが、それらの問題のない場所での使用には好適である。
・
金属製ケース
主として、機械的強度を必要とする製品に用いられている。
また、円柱形で外周部にねじを切ってあるものも金属製が多く、取付穴の内面にタップを立て近接スイッチをねじ込んで固定する場合などの用途に適している。
・
リード線とリード線取付口
外部接続のため端子台を持つものや、コネクタを使用するものがあるが、一般にはリード線引出式がとられている。 リード線をリード線取付口の近くで鋭角に曲げるとリード線取付口に無理な力が加わり、近接スイッチ内部の気密性が損なわれたり、リード線の外皮に亀裂が入るなどの不具合が発生することがあるので注意を要する。 リード線取付口にブッシングなどが用いられているのは、リード線の曲げを制限するためである。
(4)充填樹脂
通常、近接スイッチは組立終了後、充填樹脂により密封される。
これにより、部品の固定と防振を図ると共に水、油などの侵入を防止する。
充填樹脂には、エポキシ樹脂、またはシリコン樹脂など、溶剤を含まず、触媒により硬化を行う樹脂が用いられる。
(5)取付構造
近接スイッチを機器に装着するための取付構造にはボルトによるもの、ナットによるもの、専用の取付具を使用するものなどがあり、その代表例を図7に示す。
図7 取付方法
■ 4. 定格と特性
誘導形近接スイッチの定格のうち、重要なものについて次に解説する。
■ 4.1. 定格
(1)定格動作距離(Sn)
誘導形近接スイッチ検出面の基準軸に沿って検出体が接近したとき、出力が反転するときの検出体表面から検出面までの距離を動作距離と言う。
単位mm
定格動作距離
0.8
1
2
4
5
8
10
15
20
25
40
表2 定格動作距離
定格動作距離は、動作距離を定めるための規定値のことであり、この数値には電圧・温度などの外部条件及び製造公差の変化を考慮していない。
誘導形近接スイッチの定格動作は一般に1〜100mm前後であるが、JIS規格では表2の様なものが規格化されている。
(2)実効動作距離(Sr)
実効動作距離は、個々の近接スイッチで定格電圧、周囲温度23±5℃及び取付条件の下で測定した動作距離のことである。
JIS規格では、定格動作距離の90%と110%の間でなければならない。
(3)有効動作距離(Su)
有効動作距離は、周囲温度範囲にて定格電圧の85%及び110%で測定する。
JIS規格では、実効動作距離の90%と110%の間でなければならない。
検出ヘッドの前方で検出体を検出する、いわゆる前面検出形の誘導形近接スイッチでの例を図8(引用 JIS C8201-5-2:1999)に示す。
貫通形や溝形の誘導形近接スイッチでは測定の基準位置が各メーカで異なっているので、カタログなどで確認する必要がある、
図8?誘導形及び静電容量形近接
スイッチの動作距離の関係
(4)保証動作距離(Sa)
通常の検出方法は、図9(b)に示すように検出体を検出面に対し水平方向に接近させることになる。
この場合、検出面から検出体までの距離 L が離れ過ぎると検出しなくなる。
図9 検出体の近づけ方
このようなことがないように、距離 L の値は定格動作距離より小さい値をとらなければならない。このような使い方で実際に設定可能な距離を保証動作距離と言う。
JIS規格では定格動作距離の0〜81%と定義されている。
保証動作距離内で使用していれば標準検出体を使用する限り周囲温度や電源電圧の変化などがあっても、確実に検出することができる。
(5)標準検出体
検出距離の測定に使用する検出体を特に標準検出体といい、通常、正方形をした規定寸法の厚さ1mmの鉄板(ISO 630に定める炭素鋼で圧延仕上げされたもの)を使用する。
標準検出体の寸法は、誘導形近接スイッチの形状や検出距離により異なるから、カタログなどで確認すること。
図10 動作距離の寸法特性
一般に標準検出体の寸法は、検出距離に影響を与えない最小寸法を示しており、標準検出体より寸法の大きな物体を検出する場合は、ほぼ定格の検出距離で検出する。
IEC規格やJIS規格では、標準検出体の辺の長さは、有効検出面の内接円直径か、または定格動作距離の3倍のどちらか大きい方に等しいものに定義されている。
検出体の寸法が標準検出体より小形の場合は、検出距離が定格値より減少するのでカタログなどで確認を要する。
図10は検出体の大きさによる動作距離の変化の一例である。
(6)応差(H)
応差とは、検出体が誘導形近接スイッチの検出面に対し垂直に接近したときの動作点と、検出体が離れて行くときの復帰点との間の距離である。
応差は実効動作距離に対する比の絶対値で表す。
JIS規格でが20%以下に定義されている。
応差の存在は、一見無意味なようであるが、応差のほとんどない近接スイッチを使用すると検出体が振動しながら接近する場合や、検出した瞬間に検出体を停止させた場合、出力信号がオン/オフを繰り返す、いわゆるチャタリングを生じ制御に悪影響を与えることがある。
チャタリング防止のために、ある程度の応差が必要である。
(7)動作サイクル周波数
図11に測定方法を示す。定格動作距離(Sn)の1/2のところに検出体を通過させたとき、オンもしくはオフ状態の出力信号が50μsに相当するときの1秒間に開閉可能な回数を言う。
動作距離の短い小形の誘導形近接スイッチは動作サイクル周波数が高く、大形で検出距離の長いものは一般的に低い。
そのおよその値は次のとおりである。
図11?動作サイクル周波数の測定方法
小形中形・・・200〜5kHz
大形・・・・・・・10〜200Hz
交流用では25Hz以下
(8)耐水・耐油性
誘導形近接スイッチは、一般的に内部に樹脂を充填してあるので、水が容易に侵入することのない耐水構造となっている。
ただし、水中での長時間の防水性は保証していないから、水中または常に水にぬれる使い方や耐油性については、メーカーに問い合わせ確認をとる必要がある。
■ 4-2. 特性
(1)検出領域図
図12に示すように誘導形近接スイッチの検出面に対し標準検出体を水平方向に近づけた場合、検出状態になる瞬間のa地点の位置を、さまざまな距離において求めプロットしたものである。
検出曲線が検出面に対し最も優れた点の距離(b)は動作距離に等しい。
図12 検出領域図
(2)検出体の大きさ
4.1(5)項
で説明したとおり、検出体の大きさが標準検出体より大形の場合、その検出距離は定格値とほぼ同じ値となるが、検出体が小形の場合は検出距離が定格値より短くなる。
図10は検出体の寸法変化に対する動作距離の変化の一例を示した特性図である。
動作距離が短くなる範囲で使用する場合、設定距離も動作距離に比例して短くしなければならない。
(3)検出体の材質標準検出体の材質はISO 630に定める炭素鋼とし、圧延仕上げされたものでなければならない。 寸法が同寸であっても材質が異なると検出距離は異なる値を示す。
また、検出時に発生する誘導電流は表皮効果により、主として検出体の表面を流れるから検出体表面の導電性により動作距離に差が出る。したがって検出体の表面にめっきを施すと検出距離が変わるから注意を要する。
(4)温度に対する動作距離の変化
誘導形近接スイッチに対する環境変化のうちで最も影響が大きく、常温値に対し、-25℃〜+70℃程度の温度範囲で通常5〜20%の変化がある。
(5)相互干渉
誘導形近接スイッチは検出部より高周波磁界を発生させているため、2台の誘導形近接スイッチを接近させると検出コイルに他方の近接スイッチより出た磁界による誘導電流が流れ、誘導形近接スイッチ相互間に電磁的な干渉が起き不安定な動作をするようになる。
この現象を相互干渉と言い、誘導形近接スイッチを並べて使用する際に発生する。
相互干渉は、誘導形近接スイッチの構造などにより異なるので、メーカの資料を検討し相互干渉の起きない範囲で使用しなければならない。
使用状況によっては、誘導形近接スイッチを接近して並べなければならない場合も考えられる。
このような場合には埋込み形近接スイッチ、または周波数区分を施した誘導形近接スイッチを使用すると良い。
・
埋込み形
検出コイルの外周部を金属体でシールドした構造を持つ近接スイッチは、側面方向に出る磁束が極めて少なく、並列に近接させても相互干渉は発生しにくくなる。
理由は磁力線がシールド金属を突き抜けることが難しいこと、シールド金属がショートリングを形成しており漏洩磁束を打ち消すことにより、側面へ出る磁束線が少なくなるからである。
ただし、埋込み形を密着して並べたり、検出面どうしを対向させると相互干渉が発生する。
・
金属製ケース
主として、機械的強度を必要とする製品に用いられている。
また、円柱形で外周部にねじを切ってあるものも金属製が多く、取付穴の内面にタップを立て近接スイッチをねじ込んで固定する場合などの用途に適している。
・
周波数区分
相互干渉が発生する原因は互いに発振周波数が隣接しているからである。
発振周波数がある程度離れていると相互干渉は発生しにくくなる。
相互干渉対策として、同一形状、同一特性の誘導形近接スイッチで発振周波数をずらせたものがあり、これを周波数区分という。
誘導形近接スイッチを並べて使用する場合には、この周波数区分をしたタイプと標準形を交互に使用することにより取付ピッチを小さくすることができる。
■ 5. 選び方
誘導形近接スイッチは検出体を非接触で検出できる検出器であるが、その形状や構造による種類がいくつかあり選択をあやまると検出できなかったり、不安定でトラブルの原因となる事が考えられる。どの種類の誘導形近接スイッチを使用すべきか、考慮すべき事項を次に説明する。
■ 5.1. 動作距離
4.1(4)項
で説明したとおり、実際の使用方法は誘導形近接スイッチの検出面に対し、垂直でなく水平に検出体を移動させ、検出を行うので動作距離より保証動作距離が重要である。
保証動作距離は定格動作距離の81%以下であるので、検出位置精度を良くするためには、さらに余裕をとる方がよく、設定距離は定格動作距離の50〜60%にとると良い。
検出体の蛇行やコンベアの凹凸により設定距離がバラツクので、その分の余裕を持たせる必要がある。
以上の説明によれば、誘導形近接スイッチは動作距離の大きな種類を使用した方が良いように考えられるかも知れない。確実に検出させる場合はそのとおりであるが検出位置精度を出したい場合、及び小形物体検出のため分解能を上げたい場合は、逆に動作距離の短い種類を用いた方が良い結果が得られる。表3を目安にして適当なものを選んでいただきたい。
表3 動作距離の選び方
なお、検出体の材質が鉄以外の場合、誘導形近接スイッチの動作距離は標準検出体を用いて測定された定格値と比べ大差があるので、資料をよく調べるだけでなく、サンプルによる実測が不可欠である。
この場合、非磁性金属に感度の高い誘導形近接スイッチを使用することを検討するとよい。
■ 5.2. 形状
種類の項で示したように誘導形近接スイッチには形状の異なる製品が多数存在する。 誘導形近接スイッチの動作距離は、ほぼ検出コイルの直径の半分に比例するので動作距離の大なる製品ほど、その形状は大形となる。 また、取付方法によっても、ボルトで固定する角形、柱形、外周部にねじを切ってある円筒形などがあり、使用場所に応じ適当な形状のものを選択するとよい。
■ 5.3. 出力形式
負荷の種類に応じ、電圧出力、電流出力、交流開閉出力を使い分ける。
電圧出力の制御電源装置として直流安定化電源と増幅器、出力用リレーを内蔵しているものは出力が接点出力なので、大抵の負荷に適合させることができ、便利である。
負荷の種類による誘導形近接スイッチ出力形式の使い分けは表4のようになる。
表4 出力形式の使い分け
■ 5.4. 動作サイクル周波数(開閉頻度)
誘導形近接スイッチの応答速度は、電圧出力形、電流出力形が速く、交流開閉出力形が遅い。したがって、高速応答を要求される場合は電圧出力形、または電流出力形を使用し、誘導形近接スイッチにつながる制御部も無接点制御回路を使用すべきである。
■ 5.5. 周囲金属の影響
誘導形近接スイッチの検出面の近くに検出体以外の金属体が存在すると、検出性能に影響を与え、見かけの動作距離が増大し不安定となる。
金属壁にあけた穴より誘導形近接スイッチをのぞかせる場合は、検出部の外周ケースに金属を用いた埋込み形を使用するとよい。
非埋込み形では、検出部周辺の金属体を、どの程度離せば影響がなくなるか、カタログなどに記載されているから、その指示に従うこと。
■ 5.6. その他
特殊な環境に対応する製品や特殊な機能を持つ製品があるので、用途に応じて選択するとよい。
・
防爆タイプ
・
アルミ切粉対策タイプ
・
コネクタ式
・
耐熱性向上タイプ
・
オールメタルタイプ
・
安全動作表示付タイプ
・
耐薬品性向上タイプ
・
アルミ検出タイプ
・
金属通過センサ
・
スパッタ対策タイプ
・
高精度タイプ
■ 6. 上手な使い方
■ 6.1. 検出体の寸法と材質
検出体の寸法が標準検出体より小形であったり、材質が非鉄金属である場合は動作距離が公称値より短くなるので、次のように実測を行う。
1.
検出体を検出面中心軸上に垂直に近づけ、動作距離を測定する。
2.
1で測定した値の70%以内の設定距離になるよう誘導形近接スイッチを取付ける。
検出体が鉄製で、かつその寸法が標準検出体より大きければ、その動作距離はカタログ公称値どおりとみてよいから、そのときはカタログ記載の保証動作距離(設定距離)を用いてよい。
検出体の材質が鉄であっても、その表面にめっきがしてあると動作距離に差が出てくる。
めっき金属の種類、めっき厚さにより変化するので実験により確認するのが望ましい。
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