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やさしい自動制御のお話

第三章 よく使われる制御方法  その2

1.はじめに
2.時間比例制御とは?
3.時間比例の制御結果
4.連続比例制御とは?
5.位置比例制御とは?
6.まとめ

■ 1.はじめに

前回、よく使われる制御方法として、ON-OFF制御比例制御について説明した。どちらの制御方法を使用するかは、求める制御結果の安定性によって使い分け、あまり制御結果の安定性を求めない場合はON−OFF制御を用い、より安定した制御結果を求める場合は比例制御を用いることが一般的であることについて述べた。
比例制御には、制御対象、操作端の種類によって時間比例制御、連続比例制御、位置比例制御の3つに別れ、今回はそれぞれの比例制御について説明する。

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■ 2.時間比例制御とは?

時間比例制御はON-OFF制御の形態をとった比例制御であり、設定値を中心とした比例帯の中で、ONとOFFの時間の長さを、設定値との偏差に比例させて変えていくものである。(図1を参照)

図3 自動による温度制御のブロック図
図1 時間比例制御の概要

このONとOFFの1サイクルの時間は一定で、この時間をサイクルタイムと呼んでいる。このサイクルタイムを仮に10秒と設定したとすると、現在値が比例帯より低い範囲にある場合は、調節計からの出力は常にONの状態となる。また、現在値が比例帯より高い範囲にある場合は、調節計からの出力は常にOFFの状態となる。

比例帯内では温度により、ONとOFFの時間比率は、設定値との偏差に比例して変わる。例えば、現在値が設定値より低い場合、ON時間が7秒だとすると、OFF時間は3秒となり、ON時間の方が長くなる。現在値が設定値に達した場合は、ON時間、OFF時間とも5秒で、同じとなる。以上の関係を表に表わすと、表1のようになる。
現在値の状態
操作量
比例帯外
比例帯より低い 常にONの状態
比例帯内
設定値より低い ON時間が長く、
OFF時間が短い
設定値 ON時間とOFF時間が等しい
設定値より高い ON時間が短く、
OFF時間が長い
比例帯外
比例帯より高い 常にOFFの状態

表1 時間比例制御の制御状態

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■ 3.時間比例の制御結果

ここで時間比例の制御結果をON−OFFの制御結果と比較してみる。図2のように、電気ヒータの制御で考えてみると、ON−OFF制御の場合、電気ヒータはON点とOFF点(設定値)で切り替わってしまうので、検出遅れなどによる行き過ぎ量は大きくなってしまう。これに対し、時間比例は、現在値が比例帯内に入ると、設定値との偏差に応じてONとOFFの時間比率を変えていく為、図3のように、ON−OFF制御と比較して、検出遅れなどによる行き過ぎ量は小さくて済む。 図2 電気ヒータの制御
図2 電気ヒータの制御

しかしながら、時間比例制御はON−OFF動作を繰り返す制御形態を取る為、サイクルタイムが長すぎたりすると、行き過ぎ量が大きくなり、制御結果が悪くなる。逆にサイクルタイムを短すぎると、ハンチングが起こり、制御結果は安定しない。また、ON−OFF動作が頻繁に起こる為、操作端の寿命を縮めてしまうことにもなる。

従って、時間比例制御では、適切なサイクルタイムの設定が良好な制御結果を得るための重要な要素となる。
図3 時間比例とON-OFF制御の比較
図3 時間比例とON-OFF制御の比較

時間比例制御には、リレー出力と電圧出力があり、前者は電磁開閉器と、後者はソリッドステイトリレー(SSR)と組み合わせて使用される。一般的にリレー出力のサイクルタイムは10秒から60秒程度で、このサイクルタイムを短くしすぎると電磁開閉器の寿命を縮めることとなる。逆に、電圧出力は、無接点リレーのSSRと組み合わせて使用されるため、サイクルタイムは2〜4秒程度と短く、寿命の問題もないため、良好な制御結果が得られる。

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■ 4.連続比例制御とは?

連続比例制御とは、図4のように現在値と設定値との偏差に応じて、調節計から連続的な出力を出して、制御することを言う。電気ヒータの制御を例にとると、調節計を4〜20mAの出力が連続的に出るタイプとし、その出力をサイリスタユニットと呼ばれる操作器に入力し、電気ヒータを連続的に制御することを言う。

連続比例制御は、時間比例制御のようなON−OFFの制御形態をとっていないため、滑らかに操作量を変化させることができ、より安定した、精度のよい制御結果を得ることができる。特にプラント、半導体製造装置、精密試験装置など、高い安定性、精度を求めるアプリケーションで多く用いられている。

以下に連続比例制御の一例としてサイリスタユニットによる電気ヒータ制御(位相角制御)について説明する。
図4 連続比例制御御の特性 図4 連続比例制御御の特性
図4 連続比例制御御の特性

図5は、サイリスタユニットを使用した電気ヒータの位相角制御を示す結線例である。調節計の電流信号に従い、ドライブアンプから負荷電源の位相角に合ったトリガパルスが出る。このパルスがサイリスタ(トライアック)のゲート回路に印可され、サイリスタがONとなる。そして、負荷電源の電圧がゼロになるまで、サイリスタはON状態となる

このように調節計からの出力に応じて、トリガパルスを出す位置(時間)を比例的に変え、電気ヒータに流れる負荷電流を連続的に制御する
図5 サイリスタユニットによる<br> 位相角制御
図5 サイリスタユニットによる位相角制御
図6 電気ヒータに流れる負荷電流
図6 電気ヒータに流れる負荷電流

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■ 5.位置比例制御とは?

位置比例制御とは、時間比例制御、連続比例制御と同様に、現在値と設定値との差、すなわち偏差に比例した操作量で働く制御動作を言い、調節計のリレー出力で電動調節弁を開閉し、ガスや重油の燃焼炉等の制御を行うために用いられる。

図7
に示すように、設定温度が700℃、比例帯は設定値の±100℃(600〜800℃)の範囲に設定したとする。熱電対による検出温度が比例帯より低い温度範囲(600℃以下)にある時、電動調節弁のモータの開度は100%(全開)になる。
図7 燃焼炉の制御例
図7 燃焼炉の制御例

検出温度が600℃以上になって比例帯内にはいると、偏差に比例した操作量が働く。例えば、図8に示すように検出温度が650℃の時、モータの開度は75%となり、検出温度がちょうど設定値に達した時、偏差がなくなりモータの開度は50%となる。

更に検出温度が設定温度を越え、高くなると、モータの開度は徐々に閉じて行き、比例帯の上限値である800℃を越えると、モータの開度は0%(全閉)となる。
図8 位置比例制御
図8 位置比例制御

一般的にモータの開度は0〜160°の範囲で回転し、操作量50%の時、モータ開度は80°となる。

次に位置比例制御の調節計(2個のリレー接点出力)とモジュトロールモータ(リレー接点入力)がどのように動作し、制御をしているかについて説明する。

図9は、調節計から出す操作量とモータの開度がちょうど同じとなり、調節計内部にあるブリッジ回路が平衡状態にある場合を示している。この場合、モータを駆動させる為の調節計のリレー接点K1とK2はオープン状態となり、モータは停止している。

次に温度が下降し、調節計からの操作量とモータの開度にずれが生じ、ブリッジ回路の平衡がくずれると、調節計のリレー接点K2が閉じ、モータの端子(2)−(3)間に電圧が印可され、モータは開方向に回り始める。モータの回転に伴い、フィードバックポテンションのワイパは、ブリッジ回路を再平衡する方向に移動する。モータが温度降下分だけ回転すると、ブリッジ回路は再平衡して、調節計のリレー接点K2が開き、モータはその位置で停止する。
図9 位置比例制御によるモータ駆動
図9 位置比例制御によるモータ駆動

逆に温度が上昇すると、温度が下降した時と同様に、調節計からの操作量とモータの開度にずれが生じ、ブリッジ回路の平衡がくずれ、調節計のリレー接点K1が閉じ、モータの端子(1)−(3)間に電圧が印可され、モータは閉まる方向に回り始める。モータが温度上昇分だけ回転すると、ブリッジ回路が再平衡し、リレー接点K1が開いてモータはその位置で停止する。

実際のモータの動作は、図10に示すようにモータの分解能があるため、ステップ状に変化する。モータは、温度変化がαだけ変化すると、βだけ動作し、温度変化がαより小さい場合は、モータは動作しない。このαは、フィードバックポテンションメータの有効巻数によって決まり、多い方が分解能が高く、制御精度が良くなる。 図10 モータの動作
図10 モータの動作

また、制御精度は比例帯の大小によっても異なり、小さいほうがモータの開閉動作が頻繁に起こり、制御精度は良くなるが、極端に狭くするとハンチングを起こしてしまい、モータの製品寿命を縮めてしまう。逆に比例帯を大きくしすぎると、温度変化が大きく変化しない限り、モータは動作しない為、制御精度は悪くなる。

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■ 6.まとめ

今回、時間比例、連続比例、位置比例の3種類の比例制御方法について説明した。それぞれの制御方法は、制御する操作端、求める制御結果によって使い分けられ、一般的に連続比例制御がもっとも制御結果が良い。

次回は、制御の歴史が始まって以来、制御の主役を務めているPID制御について説明する。

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